規格外少女ー001
アオイ
(…今日はやけにヤミがざわついてんな……また聖都の奴らが森に入ったか…)コリナイネェ…
アオイは寝床にしている岩穴の中でゆっくりと体を起こすと気怠げに頭を掻いた。
聖都の人間は時折森に入ってはヤミの掃討をしているらしかった。ヤミの出現で魔力の消失が始まり、それと同時に生活域も後退している。
ヤミを倒して人間の生活域をなんとか広げようとしているのだ。
男
『う、うあああぁぁぁッ!!!!』
アオイ
「!」
近いな…。
誰かがヤミに襲われてる。
瞬間、アオイは声のした方へと目にも留まらぬ速さで駆け出した。
男
「くッ来るなッ!!!」
ヤミ
「ゥルアァガァァァッ」
男
「ッ!!!!」ビクッ
男は大きな木を背に、その根元にへたり込んでいた。
片足を失い死の恐怖に顔をひきつらせ嗚咽を漏らす。しかし、その目は諦めきってはおらず、震える手はヤミに刃を向けていた。
アオイ
「おー?珍しいな。こいつ目の前にして諦めない奴初めてだ」
男
「!?だ、誰だ…ッ」
アオイ
「俺はアオイ」
男
「!?」
アオイ
「お前は殺されるのと生かされるの、どっちがいい?」カクリ
アオイは男のそばに寄るとしゃがみ込んで質問を繰り返す。
――死ぬ?生きる?
[ 136/199 ]← | →
し お り を 挟 む