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男は器の隣に置かれたチェスの盤、ポーンの駒をつまむと、てん、と軽い音を立ててマスを進める。
???
「…まずは、闇黒を。手堅く行こうか」
そう言って男は窓の外を見つめ目を細めると嗤った。
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【魔装師協会:ルイズ研究室】
机に頬杖ついてペンをクルクルともてあそぶルイズ。
広げられた紙にはただぐるぐると意味の無いラクガキがされている。
ルイズ
「…邪魔、ですねぇ。駒の打ち手は僕なのに。駒が打ち手の手を離れて勝手されると困るんですよねぇ」ハァ…
どうせやる気が無いのだから最後まで引っ込んでいればいいものを…。
ルイズ
「中途半端な人は嫌いですよ、僕は」
ペンを机に放って近くに並ぶガラス細工のような勾玉が2種類、胸に円を作るようにはめられた木偶を手に取り玉をなぞる。
ルイズ
「…この実験が上手くいけば事は進展する。聖樹の謎、ヤミの謎、オニの謎…。そして―」
僕の頭の中の誰かの記憶―…。
コンコン…。
魔装師
『ルイズ様、いらっしゃいますか?』
ルイズ
「なんだい?」
魔装師
『魔警団北本部から早馬です。オズワード師団長が作戦を中止して本部に戻ったそうです』
ルイズ
「!オズワードが!?」ガタッ
ガチャッ!!
魔装師
「!はい。それでルイズ様にすぐ本部に来て欲しいと」
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