壊れる常識ー005
《―…》
シグレ
「…っ?」
《―…》
シグレ
「っハァッ…!?何言っつッ」ズキン…ッ
頭痛と目眩、浅くなっていく呼吸。遠退くオズワードとルイズの声。無音の世界が広がっていく。
―【手ノ鳴ル方ヘ】
シグレ
「…!」ゾク…ッ
まるで耳元に口を寄せられ囁かれたかのようにはっきりと聞こえた言葉。瞬間、全身の肌が粟立ち頭痛も目眩も消えた。
シグレ
「っは…はっ…は…ッ」
オズワード
「…シグレ!!」
シグレ
「!! うるせぇ…っ。耳元で騒ぐんじゃねぇ…っ」
オズワード
「Σおぶふぅッ!!?」
心配して肩を揺すり顔を覗く隣のオズワードに綺麗に裏拳を決めるシグレ。
何だったんだ…今のは…。
俺にしか見えてねぇのか…?
来訪者
「―…オレもう帰んよ」
ルイズ
「Σえ。あ、あぁ!今日はありがとう」
来訪者
「さっきの話だけど」
ルイズ
「大丈夫。日が暮れてから迎えを出しますよ」
来訪者
「いい。いらねー。ニオイで場所わかんし。じゃ」
ルイズ
「! あ…あー行っちゃいました」
来訪者は背を向けると一気に樹上へと跳び上がって森の奥へと消えていった。
シグレ
(…あの身体能力)
何者だ…あいつ…。
壊れる常識_終
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