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 アオイが唄い出す。すると嗤う巨大な口が歪み、呻りだし、木々を震わす雄叫びを上げる。

 明後日を見ていた目はぐりんぐりん動き回り濁った瞳がアオイを映す。ひとつの目玉は不規則な動きに耐えられずぽんと軽い音を立てて飛び出した。


シグレ
「…来る」

化け物
「キィィヤァァァァァァアアアアァァッッ!!!!イィイイィィィィッ!!!!」

シグレ
「!」バッ

シュロット
「!速い…!!」

シグレ
「…寄るな。臭ぇッ」


 どこからか取り出した棍。シグレはくるくると自在に操り、持ち替えながら化け物を叩き突いた。


シグレ
「おいてめぇ。さっさと魔装出しやがれ」

シュロット
「俺の魔装は戦闘向きじゃないんですよ。まして単体の相手なら尚更です」


 試してみますか?、と剣で化け物を斬りつけながらシグレを横目に見るシュロット。シグレも棍でたこ殴りにしながらシュロットを横目に見た。


シグレ
「何でもいいからさっさとしろよッ」


 襲い掛かる化け物は肉が弾けようが、手足がもげようが、横腹がえぐれようが怯む事なく向かって来る。

 弾けたり、もげたり、えぐれた肉はぼたぼたと地に落ちるが肉があった場所は見る間に回復していく。
 


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