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肉が腐り落ちた人間の頭、濁ったふたつの眼球はどちらも明後日を見ている。外れ掛けの顎にだらりと垂れる舌。
頸は真横に折れ骨が飛び出し裂けた肩からは獣の頭が唸っている。横腹や背からは猿や鹿、熊など様々な生物の四肢が生えわさわさと動き回り、腹には縦に裂けた大きな口がケタケタと嗤い巨大な舌が舐めずり回す―。
シュロット
「ヤミ…でしょうか?」
シグレ
「知るか。人外はぶっ殺す。それだけだ」
酷ぇ姿だな。
臭ぇし―…。
アオイ
「…なんだ…アイツ…くっさ!!!」
蒼依
《唄えアオイ。彼ァ(ありゃあ)"虚(うろ)"だ》
アオイ
「ウロ?なんだそりゃ?」
蒼依
《後でたっぷりゆっくり説明してやるよ。とりあえず、すぐ唄え》
シグレ
「おい。ウロって何だ。答えろ」
アオイ
「!?シグレ、シロの声が聞こえてんのか!?」
シグレ
「いいから早く答えろ」
蒼依
《後で説明してやんよ。シグレ、アオイが唄い終わるまで彼を近付けさせんなよ。死にたくなきゃァなァ》
シグレ
「…終わったら納得いくまで説明してもらうぞ」チッ
シュロット
「シグレ様」
シグレ
「シュロット、あのガキがオニを喚ぶまであの化け物を近付けさせるな」
シュロット
「了解しました」
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