124
ふたりだけでひそひそ話をするシグレとシュロット。なんとなくつまらないアオイは小屋に隣接して生える木に登って太い枝に寝そべってくつろいでいた。
アオイ
「…ふぁ…」ネム…
シグレにほかされてる…。
つまんねー…。
アオイ
「…寝ようかな…」
ウォォォー…ン。
アオイ
「!」ピクッ
シグレ
「?何だ。オオカミか?珍しいな」
シュロット
「そうですね」
アオイ
「ゥワォォォーン!!」
シグレ
「!!」ビクッ
シュロット
「…(頭)どうなさいました?アオイ様」
アオイ
「…」
森に響き渡った遠吠え。アオイはその声に応答(こた)えるように遠吠えを返し、声のした方に気を集中させ瞳を細くさせている。
ウォォォー…ン。
アオイ
「…なんか居る」
シグレ
「何かとは何だ」
アオイ
「森に住むモノじゃねぇ…っ」
シュロット
「森に住むモノじゃないモノ…」
シグレ
「…どうやらお出ましのようだ」
ゆらりと立ち上がるシグレ。
森を睨むシグレの瞳も補足なり五感を集中させる。
シュロット
(…この気配は…)
森と湿地帯の境に揺らぐモノ―。
酷い腐臭が鼻を突く。
[ 122/199 ]← | →
し お り を 挟 む