壊れる常識ー003

 身を潜めて息を殺したまま見ているとその来訪者はシグレを指差して何かを言っている。

 オズワードとルイズには見えないらしく「えー?どこどこ?」というジェスチャーをしていた。


シグレ
(………)



何つー緊張感の無い奴ら…。


殴りてぇ…。



 やがてシグレが居るのかと気が付いたオズワードが懐をゴソゴソとあさって何かを取り出すとそれを口に当てた。

 それは《スィヴェ》と呼ばれる特殊な笛。遥か昔に化け物の骨から削りだしたといわれている白く滑らかな小さな小さな笛。

 誰がいくら吹いても音が鳴らず、永く壊れたガラクタ扱いを受けていたのだが不思議な事にシグレにだけは音が聞こえているという。その為、その日からスィヴェはシグレを呼ぶ為の道具となっていた…。


シグレ
(…俺は犬か…)チッ


 舌を打ちながらゆっくりと立ち上がったシグレは「あれ?聞こえてないのかな?」としつこくスィヴェを吹きまくるオズワードを殴りに樹上から飛び降りた。
 


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