壊れる常識ー002

シグレ
「…どういう事だ?ここまでの火力の魔装も魔力も持った奴なんて居ねぇ。一体誰が…」



とりあえずオズワードに報告するか…。



 考えてもしょうがねぇ、とシグレは再び障壁門へと足を進めた。


 障壁門の見える位置まで戻って来ると門の所に三人の人影を見つけ、シグレはとっさに木の陰に身を隠し様子を窺う。


 ひとりはダークグレイのオールバックにアメジストの瞳で豪槍を携えた中年の男。ひとりは襟足だけを伸ばした蒼い髪に目が開いているか全くわからない糸目の若い男。やたらアクセサリーを身に着けている。

 中年の男はオズワード・レビアン。聖都最大の師団《魔装警師団》の総師団長であり、シグレの上司である。隣の若い男はルイズ・シャードイル。彼は絶滅危惧種である魔法遣いの集団《魔装師協会》に所属する正魔装師にして協会唯一の魔賢者であり次期導師という肩書きを持つ聖都でも三本の指に入る魔法遣いだ。


 そして、オズワードとルイズと向き合い、シグレに背を向けて立つ影。


 黒く長い髪を風になびかせる子供。


 魔警団のコートを羽織る見覚えの無い後ろ姿を見ていると不意にその顔が振り返って視線がぶつかった。


シグレ
(…! 俺に気付いた。何者だあいつ)


 シグレと来訪者との距離は少なく見ても100メートルは離れている。かなり手前で気配を断ったシグレに来訪者は気付いた。
 


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