規格外少女ー006

師団員
「! お前」


 男は泣きながら安心しきった顔でなんども礼を言った。そんな男の姿に少女が満足げに笑うと突然隊列が急停止をする。


ガクンッ!!!!



「Σわわわ!?;;;」

少女
「…次から次へと」スッ…


「?」



―ウルァァァアアアァッガァァァァァッ!!!!!




「!!」ギクッ


 囲まれた。


 思ったよりも早く多くのヤミが集まってしまっていた。

 じわりじわりと迫るヤミに誰もが死を覚悟した時、立ち上がった少女が何か歌を歌うようにしながら、てんてんと軽やかに馬の上を跳ねて移動し隊列の前に躍り出る。


隊の指揮役
「!? キミ」


少女
「…すぅ…さァて。ひと暴れしましょうかねェ」ニヤリ


 少女はおもむろに腰の両側に差した懐刀を抜くと姿勢を低くして構える。


 そして―


少女
「走れェッ!!!」

隊の指揮役
「!?」

少女
「死にたくなけりゃァ全速力で森を抜けなァッ!!!」ヒャハッ


 少女は叫び活路を開く。その声に指揮役が声を張り上げ、同時に四方八方からヤミ達が襲いかかる。隊列は全速力で少女を通り過ぎ森を抜けて行く。


隊の指揮役
「…死ぬな」

少女
「!」


 横を過ぎる指揮役の男は横目に少女を流し見て声を掛けた。隊列の殿(しんがり)が遠ざかるのを見送りながら少女は笑う。


少女
「死ぬなァ?聖都のヘボが。誰に向かって何言ってやがる」クク


 残された少女は隊列を追いかけて行こうとするヤミを片っ端から斬り捨てる。斬られたヤミの体は青白い炎に包まれた。ヤミ達は燃え盛るソレを見ると怯えるように森へと霧散して行った。


少女
「Σあァ!?んっだよ…ッ!逃げんなよ!!つッまんねェなァ…しャァねェ、俺も帰んか」チッ


 鞘へと刃を収めて隊列が去った方を見れば森の外にはまだ気配が感じられた。


少女
「…ふぅ」



…まだ、追いつけるか…。



少女
「そろそろいいかな。オヤジ…」




規格外少女_終

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