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ルイズ
「…アオイちゃんの歳だと、14、5年前でしょうか?」
マリア
『そうね。その頃って確か』
ルイズ
「えぇ。大規模移住があった頃だと思います」
シグレ
「大規模移住?」
ルイズ
「第十二、十三居住区画の住民に他の区画へ移動してもらったんです。このふたつの区画はどうしても負のモノが溜まりやすい場所でしたから」
シグレ
「という事は生きてるかもしれねぇんだな」
ルイズ
「!そうですね」
マリア
『可能性はあるけれど…。彼女が彼らに会うことを望んでいないわ』
ルイズ
「え…?」
マリアがアオイを見やるとアオイは水鏡から手を揚げてしまっていた。嬉しそうな、それでいてどこか淋しげな顔をしながら。
ルイズ
「会ってみたくはないのですか?」
アオイ
「うん」コクリ
シグレ
「何で。ここまでやったんなら」
アオイ
「シグレは親に会いたいと思うか?」
シグレ
「今更だな。記憶も無ぇし。捨てられたし」
アオイ
「オレもおんなじ。オレはアオイ・ベルジュでオレの親はボルドー・ベルジュひとりだけ。だからいーんだ」
シグレ
「…そうか」
ルイズ
「アオイちゃん…」
アオイ
「ありがとなルイズ」
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