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アオイ
「これ。ずっと持ってるやつ」
マリア
『変わった形の剣ね…不思議。とても古い魔力が籠められているわ』
アオイ
「わかるのか?」
マリア
『えぇ。さぁ、その剣を胸にあてて空いている手を水鏡に浸けて。そうすれば自ずと望む物が映し出されるわ』
アオイ
「えっと、こうか?」
ちゃぷん…。
マリア
『えぇ。そうよ』
アオイは言われた通りに懐刀を胸にあて空いている手を水鏡に浸けた。すると次第に水面の輝きが揺らいで何かが映し出され始める。
映ったのは酷く寂れた町。
町行く人々にも覇気は無く、明らかに他の町とは違っていた。
アオイはどこかで同じような風景を見た気がしている。
マリア
『ここは…』
ルイズ
「…廃墟になる前の"第十三居住区画"ですね…。ここが」
アオイ
「…ここが…オレの生まれた場所…」
そこは蒼依がヤミを掃討した場所。あの小さな窪地の町だった。
そして―。
アオイ
「!」
ルイズ
「水鏡が…!」
シグレ
「こいつらは、親、か?」
マリア
『…その様ですね。同じ波動を感じます』
水鏡が次に映し出したのはお腹の大きな母親と父親らしき人物。
どちらもどこかアオイに似た顔立ちをしている。
赤ん坊が動くのか時折大きなお腹を気にしてはふたりで嬉しそうな動きをしていた。
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