059
聖樹に近付くと樹のそばに小さな小屋が建っている事に気付く。よく見るとその小屋には出入り口らしいものが見当たらない。
ルイズはその小屋に近付くと壁に手のひらをかざす。すると壁と手のひらとの間に魔法陣が発現して壁が消えた。中には地下へと続く階段が見える。
ルイズ
「さぁ、どうぞ」
アオイ
「…」
一段ずつゆっくりと降りる。
地下には確かに大きな水鏡があった。その水面はまるで宝石のように澄んだ輝きを放っていた。
アオイ
「すげー…キレイだな…」
ルイズ
「綺麗でしょう?えーと、探し物をする時は〜…」
???
『水鏡に手を浸けるのよ。忘れたの?ルイズ』
アオイ・シグレ
『!』
ルイズ
「あぁ!そうでした!そうでした!ありがとうマリア」
突然響いた女の声。
澄んでいてとても綺麗な声。
顔を上げると向かいに淡い光を纏った銀色の長い髪に金色の瞳の女が立っていた。
マリアと呼ばれた彼女はアオイに近付くと横にしゃがみ込む。
マリア
『貴女が探し物をしているの?』
アオイ
「え、あ、うん。オレの生まれた場所なんだ」
マリア
『土地を探しているのね。何か生まれた時から持っている物や身に着けている物はあるかしら?』
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