はじまりー004

 かなりの時間風紀委員に拉致られた湊人はぐったりしながら図書室へと向かっている。

 今度は自分の委員会だ。力無く扉を開けて中に入ると、もう放課後も遅くなり中には同じ委員の美鈴しか残っていなかった。


美鈴
「…だから生活態度だけでも直せって言ったのよ」

湊人
「……すんません…|||」


 横目に睨まれた挙げ句ため息までつかれた。まだ委員会の時間が残っているのでとりあえず美鈴の隣りの隣りに座り、気力の無くなった目で静かに本を読んでいる美鈴をそっと見る。


 夕日に照らされた横顔は凛としていてふと「こんなヤツだったっけ」と思った。

 きちんと切り揃えられた清潔感のある綺麗な黒髪のボブヘアー。凛とした目元に少しレンズ幅の狭いノンフレームメガネ、桜色の唇とそのそばのホクロ。華道、茶道はもちろん様々な習い事を網羅している美鈴は姿勢も綺麗だ。

 《立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花》と讃えられ女神と呼ばれている。

 そして美鈴の制服、セーラー服の上に着た丈の短いジャケット。その左胸のポケットには京也のものと同じ型デザインでシルバーではなくゴールドと呼ぶには落ち着いた色のラペルピンが。あえて例えるならちょっと古い五円玉みたいな色。

 美鈴のラペルピンは学年二位の証である。
 


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