はじまりー002
放課後の、それは幼馴染みのひょんな一言から始まった。
京也(きょうや)
「湊人(みなと)ゲームをしよう」
湊人
「え?ゲーム?」キョトン
京也
「そう。明日からの小テストを含めたテストで30点以下の点数を取ったら罰ゲームするの」
湊人
「え゛?」ギク…
京也
「だってこのままだとせっかく頑張って同じ学校に入れたのに湊人だけ進級できないよ?」
そう言って困り顔で笑う幼馴染み。
『進級できない』その言葉の意味を考えながら隣の幼馴染みを見る。
まるで歌舞伎の女形役者のような艶っぽく、それでいて優しい目元と口元。さらさらの黒い髪。綺麗に整った顔立ち。
詰め襟の首元には校章とSのバッジ。そして左胸のポケットには校章とSSの文字がデザインされたホームベース型をしたシルバーのラペルピン。
Sのバッチは特進クラスの生徒の証。SSのラペルピンは学年首位である証。
湊人
(…やっぱ京也はすげーなぁ…)
カッコよくて、頭良くて、背も高くて、運動も得意で…。
昔っから憧れで…。
京也
「聞いてる?」
湊人
「!」ハッ
京也
「もうそんなんじゃゲーム強制だからね」
湊人
「え!?;;;」
京也
「俺はちゃんと湊人と一緒に進級したいよ?」
湊人
「…!」
ね?と微笑む京也。その顔を見るたびになんとなく胸の辺りがヘンになる気がした。
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