下書き@@ー001
【私立颯栄学園(しりつそうえいがくえん)】
県内1、2を争う文武両道の進学校。
そんな進学校の特進クラス、T−S組。真剣(必死)に授業に取り組む生徒の中、窓辺の席のとある生徒は窓の外の穏やかな景色をぼんやりと眺めている。
春の穏やかな青空、淡く注ぐ陽の中を舞う桜、そよぐやわらかな風―。
(…まさか本当に合格するなんてな…)
やっぱりすごいな、湊人(みなと)は…。
「…ふ。これから大変だな」
担任
「ん?もう終わったのか、直江(なおえ)」
周りがまるで机にへばりつくかのように向かう中で、頬杖をついて外を眺めるその生徒はとても目立った。
黒く、少し目に掛かる長さのショートヘアに切れ長の目。様々な武道をやっている体はほどよくがっしりといている。
担任に言われるままにノートを手渡して再び窓の外へと視線を移す。
「…」
学年でもドンケツの成績だったお前が"いっしょがいい"なんて俺の後追っかけて来て、死ぬ気で颯栄に合格とか…。
(…自惚れてもいいのかな、湊人…)
担任
「…うん。さすが直江だな。全部正解だ」
「そうですか」
担任
「? なんだ、誉めたんだぞ?胸を張れよ、直江 京也(きょうや)」
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