閑話



ひゅるるるぉぉお。


鋭く風を切る音がする。何処かで、何かが落ちてきているような。そんな音が辺りに響いていた。そして。



ドウッ、ザァァ。


ある一点を中心に砂が舞い上がり、一気に四方八方へ吹き飛んだ。不意に未だ砂のカーテンが出来ている中、むく、と影が起き上がった。


「こ、こは、」


たてられた、日に神秘的な光を反射するその髪は金の色。マントを羽織った上からも分かるほどのがたいの持ち主だ。辺りを見渡す瞳には、鋭い光。端正な顔の方頬を、傷のようなものが覆っている。ざ、と足を一歩踏み出して、戻した。周りは全て砂しか存在しておらず、それでも彼は理解しているようだった。
名も知らぬ、未開の地。ただそれは、恐怖心を掻き立てるモノでしかない。そんな場所へと"堕とされた"。その事実を。探さなければ、ならない。何を?ああ、そうだ。

「、紅葉。」



過酷な運命に誘われた、小さく可憐な一輪華を。

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