と、そのとき…
―――ザクッ
「…っつぅ…ッ」
バーンが痛みで顔をしかめる。
どうやら指を切ってしまったようだ
バーンの指から、林檎の赤に負けない赤い液体が滴る
赤、赤…赤い。
目が・・・そこから逸らせなかった
「まったく、不器用さんだね、君は。」
「・・・ッ、俺は−…負けるのは大嫌いなんだよ」
「たかが林檎の皮むきで?」
そう言ったら顔まで赤くして。
全く、君は本当に赤いね。髪、頬、着ている服も…
・・・林檎と血とナイフで染まっているその両手も。
そんなこと考えてると唐突にバーンの「赤」が
欲しくなった。
「ねぇバーン??」
「あ?」
「止血、したげようか」
「…は?」
俺はバーンが理解する前に傷口にしゃぶり付いた。
「おおぉおぉい!!何やってんだよ…ッ」
「何って、止血。」
「はあ?!何言って…っつあッ!!」
あんまり甘かったからもっと欲しくなって
ついつい吸っちゃったよ。…バーン、君は本当に赤くて、甘いね。
じゅる…ず・・・・ッじゅばっ・・・
ぴちゃ…
「…?!痛っ!! う・・・っふ、・・んっ、く…ぅぅ、、、」
「あははッバーンは痛いと感じちゃうんだぁ」
といい傷口を甘噛みしてやると、ああっと可愛く啼いて
必死にこちらを睨みつけてくる。
ああ…本当に可愛いんだから、もう。
そしてもう滴るほど出てきていないその赤いモノを
無理やり吸ってやる。
「いた・・っヒロ…ト、も・・・・もういいッ!!す、吸うなっッ」
そんなことを嘆くバーンの顔はひどく紅潮していて
潤んだ目で、これほどもないような睨みを僕に向けている。
(ああ、そんなことしても煽るだけなのに…)
こんなことを心底思ってしまう。
でも、本当に甘くておいしいんだよ??
俺は吸いとったモノを口内に絡ませ、バーンに深く
口づけた。
その舌に思いっきり味わって欲しかった。
「…っふぅ、っく、・・・んんっ」
バーンも必死に絡み合せてくる
口のなかに鉄の味が広がる。
バーンの口元からはだらしなく唾液とソレが混じったような、
薄い赤、が蔦っていた。
(全然甘くねえ、むしろ苦い)
(バーン、、君は甘くて赤くて、だけどどこか熟しきれてない
真っ赤な林檎のようだ)