「・・・へ?」

 思いもよらない言葉に、間抜けな声が出た。だって、心臓を預けちゃったらわたしは、

「死ぬじゃないか・・・って?」
「な、なにニヤけてんのさ!?心臓とか、」
「今更だな。お前から言ったんだろ?」

 代償なら何でもくれてやるって。そのフレーズに、目を見張った。自分の言葉に首を締められるなんて。
 そう言われたら差し出さない訳にもいかなくなる。こっちが駄々をこねたところで、寿命が少し延びる程度の時間稼ぎにしかならないだろうし。

「・・・こんなに早く死ぬと思わなかった」

「そんな分かりきった絶望を与えると思ってんのか?」

「・・・はあ?」
 本当に訳が分からない。何がしたいのか全く理解できなくて、だんだんと開いていく扉の前に座る真理を凝視していた。

「足掻けよ希望」

 希望?それはわたし?それとも・・・?

 考える暇も与えられないまま、思考も身体も黒い手によって呑み込まれていった。

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