「っナマエ!?」
「ノックくらいしてよナギ・・・」

 息が上がっているところを見ると、かなり急いで来てくれたのだと分かる。・・・愛されてるなあ、なんて。熱で浮かされている頭で考えた。

「あれ・・・何持ってるの?」
「お粥だよ、お粥」
「えっ」

 苦い顔をする。実は、味がないお粥はあまり好きではない(暇だったからメモ帳を見直して知った)のだ。ナギはそれを知っている・・・と思うんだけど。彼の手にはおぼんが乗せられていて、よく見たら土鍋と小皿、さらには薬までちゃっかり入っている。これも嫌いな粉薬だ。

「・・・ナギ、わたしを虐めたいの?なんなのSなの?」
「ムツキみたいなこと言うんじゃねーよ!」

 仕方無いだろ、とナギが言った。やっぱり知ってるよね、その口ぶりからして。ベッドの近くに椅子を出して腰掛けたナギを、起き上がっているのに椅子の高さのせいで自然と見上げる形になる。ふと、土鍋持って走って来たところを想像したら笑いがこみ上げてきた。出前みたい

「・・・随分と余裕ですねナマエさん?」
「な!?そんなんじゃ、」
「お粥くらい食えるよな?」
「だから、」
「・・・口移しがいいのか?お前」

 は・・・!?そんな訳が無い。先程より熱を帯びた頬を見られないよう、お粥が盛り付けられた小皿を奪ってかき込んだ。・・・あれ?

「味ついてる・・・」
「そう!俺がマスターに特別に作ってもらったんだ」

 ちなみに粉薬も味つきなんだ、と得意気に話すナギを見て顔がほころぶ。作ったのは別の人なんだろうけど、わざわざわたしのためにしてくれたんだと思ったら、ちょっとくすぐったくなった。

「ナギ、ありがとう」
「!・・・どういたしまして」


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