「ナギー!はいこれ、頼まれてたやつ」
「おっ!サンキューなナマエ」
パサリ、と書類を彼の手に乗せる。わたしが唯一自慢できるのは、他人のことに人一倍詳しいことだ。そのせいで軍令部やら色々なところから人事に関してまとめてほしいとよく頼まれる。上の人達は12組のやつに頼むのがシャクなのか、人を介して頼んでくる。・・・人間くさいところは嫌いじゃないんだけどなあ。
今回も、9組であるナギを通して上から依頼された書類だったりする。
「いやーナマエは毎回仕事がはえーな!ほんと助かるよ」
「はやい?そうだっけ・・・忘れちゃったや」
「・・・忘れてもナマエはナマエだからな?」
「え?」
不安になるなよ、ってことだろうか。優しい気遣いに口角が上がる。ありがとうと言うと、ナギはニカッと笑ってくれた。
彼のこういうところが好き・・・なんだと思う。みんなのアイドル、ナギはわたしにまで優しくしてくれる。さすが、と言うべきなんだろうか。
「じゃあねナギ!他の人のところにも行かなきゃ」
「おう。じゃーな」
「うん!」
手をヒラヒラ振って送り出してくれる姿に、笑顔で返事をした。
「・・・あいつはいつになったら俺の気持ちに気付くんだろうなー」
下手したらクリムゾンより難しいんじゃないか。一人、クリスタリウムで苦笑を浮かべるナギが見掛けられたとか。
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