「非現実」

『...さきに、行っててちょうだい』

「あああああギャリーさん死亡フラグ...!」

 なんで青人形の中から鍵が出てこなかったんだ。運が悪い...のかな?でも、どうだったにせよそのせいでギャリーさんがバッドエンドを迎える形になってしまったという事実は変わらない。
 唇を噛み締めながらイブを操作して進んで行く。階段上るときに、青いバラの花びらを見付けた。階段の方へ続いているところを見ると、どうやら花占いでもしているらしい。行為を止めるために操作に慣れきった右手をキーの上に乗せて、急いでメアリーのもとへ向かう。メアリー花占いだなんてやめて!わたしやったことあるけど大抵あてにならないよ!

『すき...あはは、やった、これでわたし...』

 で す よ ね ...手遅れですよね...!ゲームなんて展開作られてるんだから間に合う訳なかった。メアリーの言った「わたし...」の続きが気になるけど...あれ、花びら10枚だから『きらい』で終わるはずなのに...?まさか茎まで折ったのかメアリー、折ってしまったのか。嫌な予感がした。

 慌ててギャリーさんのところへ戻ると、眠っている、なんて表示されて。嘘つけそれ確実に死んでるだろうがあああああ!ていうか、なんで、連れていくとか引きずっていくという選択肢がないのか。わたしなら眠っているギャリーさん担いで逃げるのに。代わりに得たのは、ギャリーさんが持っていたライターだけだった。

 ライターをひったくってきたけど使い道が分からなかったわたしは、連れていけなかったギャリーさんを置いて地図の真ん中に位置する部屋へ向かう。多分、これでイブが帰って終わるんだろうなぁ...


*****


 元の世界には戻れたけれど、ちゃっかりメアリーが家族になってるし、ギャリーさんは絵画になってるし...これは、

「少なくとも、わたしの願ってるハッピーエンドじゃない」


 確かに、その時わたしはイヴ達の幸せを、幸せな結末を望んだ。3人がハッピーエンドを迎えられるような結末を。だけど、まさか、背後から何かが墜落したような音が聞こえたと思って振り返ったら


「っいたた...あら?ここ...どこなの?」


 さっき死んでいたキャラが自分のベッドの上でかわいく首をかしげていた、だなんて、信じられるもんですか。


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