「ああなんていい日なんだろう」
思考が、停止した。まあそれも一瞬だけど。
先程まで私の前にそびえ立っていた希望ヶ峰学園は跡形も無く、代わりに扉がポツンと佇んでいた。
行かなければならない。何で?何でも。どうして?どうしても。終わりの見えない自問自答を繰り返すうちに、自然と足は扉へ向かって一歩、また一歩と前進していく。まるで何かに吸い寄せられたように。
そして扉の前に辿り着くと、私の手は躊躇もなくそれを開けた。
「...教室?ていうか誰もいないし...」
遅刻寸前に来たはずの私が一番乗り?じゃあこのクラスは不良しかいないのかな、物凄く不安だ。でもそんな不良さんも愛するべき対象に含まれるのは決定事項なのであまり気にしない。
「...とりあえず寝よう」
大きめのショルダーバッグからお気に入りのクッションを取り出す。
前日はあまり眠れないだろうと思って、数日掛けて準備した中身を全部引きずり出しクッションのみ詰めたおとといの自分を心の中で誉める。いい仕事をしたなあ、うん!
寝ていることがばれたら色々とヤバいし恥ずかしいなあと思って隠れられる場所を探す。まあ、そんなに都合良く見付かる訳がなかった。ここ学校だしね。寝れるような場所なんてあるわけがないんだよね。
「...もういいもん」
半ば不貞腐れつつその場に横たわる。狭くて薄暗い空間は何となく落ち着くのですぐに眠りについた。ついてしまった。
だから、その後ぞろぞろと人が入ってきたことなんて知る由もなかったの。
お馬鹿さんね
(ぐー...)
(あと一人、来ないな)
(え?何でそんなこと分かるんすか!?)
(ここに用意されている机は17脚だけ。今のコイツで16人...つまりあと一人で揃う)
(少し考えれば分かることだ、愚民め!)
(ぐー...)
(.........)