「やあオマエラ」
突然の呼び出しに応えてみた結果、面倒なことに巻き込まれてしまった。
「ボクはモノクマ!この学園の、学園長なのです!」
「モノクロとクマをかけたことが見え見え...!」
「なぬぅ!?そこのオマエ...ちょっとオシオキが必要だね...」
顔を赤くして爪を生やした、だと...まさか威嚇...!?「怒っただけだと思うぞ...?」「あっ日向くん、わたしもしかして声に出てた?」
それにしても、どこかで聴いたことのある声のような気がする。...でも、思い出せない。なんだかものすごく身近にあったような...
「やいやい、隙ありー!」
「ちょっと!なにするんだよ!」
「仕返しに決まってるでちょー!」
確かにならない記憶を探る作業は、ウサミ先生がモノクマに喧嘩をふっ掛けたことで中断になった。ポコスカ、キューなどの音が出る喧嘩を見るのなんて初めてで。
シュール。奇抜で難解。現実離れ。そんな言葉でしか表せなかった。
「人形が喋って動いて喧嘩するだなんて...!」
「...おいお前ら、ふざけてんのかコラァ!」
「落ち着きなよ九頭龍くん...ほら、わたしのコーヒー牛乳あげるから」
「ああ?ぶっ殺されてぇのかテメェ!?」
土煙が立つ程の喧嘩をする人形って...もはや人類を凌駕しているような...?まあ教室から一気に南国に来ちゃうくらいだもんね。ニワトリ1羽を牛1頭に変えるくらいだもんね。
こんなこと当たり前だよね。どうしよう感性が変になってきた気がする。
「へへーんだ!どうでちゅかモノクマ!」
「ヨヨヨ...」
「...に、人形って涙出ましたっけぇ...?」
腕を組んで仁王立ちしているウサミの前には、膝と手を地面につけて泣き崩れているモノクマがいた。まさに予想外。立場は逆を想像してしまった。ごめんねウサミ先生!悪気はなかったんです。
「ボクは諦めないんだからな!ベッタベタで靴の裏にくっついたガムみたいに、ねちっこく諦めてやんないんだからな!覚えてろよオマエラ!!」
「おめー、名前なんだったっけ?」
「ボクはモノクマだってば!んもう、やんなっちゃうなあ!!」
「消えた...」
「アンビリーバボーですね...」
一瞬で視界から消えてしまった。一体なんだったのか、ただそのことだけが悶々と脳内で渦巻く。
「やっと懲らしめることができまちた...これでもう平和でちゅね...!」
「やっと...?って、どういうことなのウサミ先生?」
「ほわわっ!?なななんでもないでちゅよ苗字さん!」
「...なーんか怪しくねぇか?」
「左右田くんも気のせいでちゅ!ミナサン、それよりも課題の説明をしまーちゅ!!よーく聞いてくだちゃいね」
ものすごくはぐらかされた気がする。ウサミ先生はだらだらと滝のように汗を流してるし...今度あの手この手で聞き出してやる。狛枝くんはウサミ先生の口を滑らせるのに必要だからあとで誘っておこうと計画を練りながら説明を聞いた。ほとんど右耳から左耳へすり抜けていったけど。
「今回の課題は『花飾り×1』でちゅ!」
感想、今日はいろいろとありすぎた
(ウサミ先生できたよ!)
(苗字サン、こういうのは復習が肝心でちゅ!)
(ミナサンで素材を集めてもう1回作ってくだちゃい!)
(うそん)
(みんなで協力して頑張ろうよ、ね?)
(七海ちゃん...!!)