教室の開きっぱなしのドアの前に立ち尽くした。
 わたしは日向創の恋人、という位置付けにいるはずだ。なのに、なんで

「はあ、どうしてだろうな」
「......日向くん、右手をご覧ください」
「は?七海右がどうした、って、名前!?」
「...こんの女ったらしがあああああああ!!!」

 叫んでダッシュ。委員会遅くなったからダッシュで来たのにな、どうしてこうなるかな。ああ、ただでさえ普段運動しないから負荷で心臓が破裂しそうだ。

「それは違うぞ?!ちょ、名前待「いや」即答かよ」

 やはりというかなんというか、追いかけてきた。こうなるととことん逃げたくなるのは人間の性だろうか。え何?違うって?

 女の子と放課後に密会なんてしちゃうの?ねえなんで?なんで机1つ挟んで向かい合ってるのかな。しかも七海ちゃんと!そりゃああんな女神見てたら目の保養になりますよね!さすがにコンクリハートの名前さんも泣きますよ?どうしよう目に汗滲んできた。目に。

「わたしじゃ満足できないのね!?」
「俺は、名前がいいんだよッ!」

 急加速した日向くんから逃げれるはずもなく、わたしは右手首を掴まれた。つまりあれか、本気出してなかったんだぜ的な感じか。...ええ所詮そんなもんですよ!体力のなさには自信がある。

「せっかく広報委員会早めに終わらせて課題提出してきたのに」
「...」
「なんで、七海ちゃんと」
「相談してたんだ。ごめんな」

 ...謝られたら、怒れないじゃない。日向くんはわたしの腰に両腕を回し、首に顔を埋めた。正直言うと、髪の毛と首にかかる吐息がくすぐったい。

「...嫉妬してくれたんだよな?」
「...悪い?」

「いや、可愛い」

 ...この人は、なんで、他人を調子に乗らせることを言うのだろうか。

 それに、なんでわたしも、すぐに許してしまうの。


「...全部、日向くんのせいだからね」


 責任とるよ、なんて低音で言ってきた彼の頭を叩いた。


恋の病


(くっそ、なんで廊下の真ん中でんなことすんだよォ!)
(...ごちそうさま、だね。左右田くん、嫉妬してるの?)
(......ハァ!!?)



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