曖昧模糊
「今回の実験、材料の分量も質も、状態及び状況も完璧だったと思うんだけど・・・」
俺は、どこかで間違えたのか?この俺が?・・・いや、間違えるはずがないことは分かりきってる。失敗したのはあの日だけ。今となっては、懐かしく、忌々しい記憶だ。・・・・・・じゃあ、これはなんだ?俺の目の前に転がってる、人と思われる物体は・・・なんだ?
「・・・強大な冥土を喚ぼうとしたんだけどね、俺は」
召喚できたと思ったら、変な女1人が出てきた。式がどうやっても成り立たない。ぴくりとも動かないところを見ると、こっちへ来た時に気絶したようだ。
「まったく・・・腹立たしいことこの上ないな」
「・・・ぅ、」
「おや・・・お目覚め、かな?」
「うー、眠い・・・ん?あれ、PSPどこいった?」
気絶という表記には誤りがあったようだね。どうやら深い眠りについていただけらしい。はぁ、紛らわしい。
「・・・やあ、こんにちは」
「えっ、あ、ギフト・・・さん・・・!?」
「何で俺の名前を知ってるんだい?」
「あー・・・」
俺が顔をしかめると、バツが悪そうに目を逸らした。誤魔化そうとしているのはなんとなく分かった。召喚されたと思われるこいつは、どの道俺の研究対象である。
「さあ、全部話してもらおうか」
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