もう終わり

やっとこのうるさいのともおさらば出来る。そう思うと、少し胸が苦しくなる気がした。長い間優しさに触れなかったからだろう。軽くため息をついた。
息子を、兄弟を心配して、周りはずっと何やら叫んでいる。私がまだ何もしていないから動かないだけで、木の坊っ切れは真っ直ぐ私に向けられたまま。一ミリもブレやしない。愛されてるなあ。
さて、ここで問題がある。


(どうやって体に戻すの)
(さあ)
(どうすんの!)
(あ、や、まてまて!いいこと思い付いた)
(言わなくてい)
(キスだろ!)
(……)
(眠り姫には王子のキスを。眠り王子には姫のキスをってね)
(無理。ムリムリムリムリムリ)
(やるだけやってみようぜ)
(軽い!バカなの?き、キスを、そんな)
(照れんなって)
(うるさい!)
(可能性があるならやるべきだ)
(…)


私のファーストキス…だなんて乙女なことを考えてみる。仕方ないでしょ。私だって気にします。


(…目を瞑って)
(えー)
(はやく!)
(はいはーい)
「…あ、の」
「!」
「む、息子、さん、に」
「…フレッドか」
「き、」
「キスしていいですか…?」
(ブフォ)
「…え」
「てかします!ごめんなさいい!」


もう終わり


塞がった口から出ていくなにか

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