あるひ

注意書

しゃちさめif
鯱が一個人として体をもって出てきてます。


「う゛ぉ…」
「あ…」
「ありゃ」
「う゛お゛ぉぉい゛!!!!テメェ何してやがる!!!」
「ちぇ〜、タイミング悪いなスクアーロは!そんなんじゃこの業界でやっていけないぞ」

タイミングが悪いなんてあるものか。任された書類に不備があったから来てみれば、相方が応接用のソファに押し倒されている。もう一度言うが押し倒されているんだぞ。そしてこれも重ねて言うが、自分は、仕事を、していた!
この目の前の忌ま忌ましい上司、テュールといえば、悪びれもなく笑いながら身をお越し、相方といえば、恐らく羞恥心で顔を真っ赤に染めている。押しに弱い相方のことだから、いつものように断れず流され押し倒されたに決まっているので、なんら悪く思うことはないのだが、やっと身を起こしたかというと、蚊の鳴くような声で謝罪してきた。

「テメェこのクソがぁ!!人が仕事してるときに何してやがる!!」
「えっ、鯱に」

テュールの言葉は鯱の大声で遮られた。

「す、スクアーロ、私も手伝う。」
「あ゛?」
「テュールさん、では私はスクアーロを手伝ってきますので!」
「え〜」

引き留めるテュールの声を無視して、鯱はスクアーロの背中を押し、部屋を出る。そのまま早足で廊下を歩き、角を曲がったところでピタリと止まった。

「スクアーロは先にいってて。自分の部屋にに一度戻るから」
「お゛ぅ…」

そうして鯱は自室へとかけていった。スクアーロはモヤモヤした胸の内をそのままに、まあ後で忠告でもしておくかと、歩き出したのだった。
鯱はというと、自室へと駆け込んだあと、まだ熱を持つ頬に手を当て長い溜め息をついた。

「スクアーロをからかいたいからって…」

何事もなく仕事の話をしていたのに、テュールが突然目を輝かせた。スクアーロの足音だ!そういった瞬間自分は手を引かれ、気がつけばソファに押し倒されていたのだ。彼がスクアーロを可愛がってるのは知っているし、からかいたい気持ちもよくわかるが、自分を巻き込まないでほしい。ちらりと見せた表情だって、あんな風に見つめられたら、ときめかない女性はいないだろう。
スクアーロが来なければどうしていたのか、頭をよぎった考えに自分の嫌な欲が見えたのに気がつき、鯱は頭を振った。スクアーロが待っている。仕事を手伝ってやらねば。



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