スフレ

「ん?」


授業も終わった昼過ぎ。縁側で日向ぼっこを楽しんでいると、急にくのたまたちの悲鳴が聞こえた。あまり興味はないが、如何せんこれでは昼寝ができそうもない。どっこいしょ、という声と一緒に、悲鳴の元へと向かった。


「あれ、どうしたの?」
「っ先輩、蛇が…!」


目に涙をためた後輩たちの視線の先には、なるほど、毒々しい赤色の蛇がいる。パッチリとした目でじっとこちらを見てくるその子は、同級生の忍たまの友人と記憶している。たしか、


「ジュンコちゃん、だっけ?」
「え?」
「大丈夫、あのこは賢いから。私、返してくるね!」
「あっ、先輩!?」


後輩たちは何か言いたそうだったが、構わずジュンコちゃんのもとへ向かう。特に警戒した様子もなく、屈んで腕を差し出すとスルスルと首まで上がってきてくれた。後輩たちから悲鳴が上がったが、私が手を降ると安心したようだった。


「綺麗だねー」


忍たまの学舎へ向かいながら、そんなことを呟く。今まで近くで見ることがなかったからか、こうして見るとなかなか可愛らしい。知能も高いようだし、あのこはさぞ愛しく思っていることだろう。


「泣いてるかもね」


笑いながら言う私に対するジュンコちゃんの返事と、涙声の叫びは同時だった。


スフレ
(ジュンコおおおお)
(…うっそー…)
(シャーッ)



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