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次の日も、また次の日も、大して変わらない一日を送った。ただ違うことがあると言えば、スクアーロが目に見えて周りに恐れられていることと、ディーノがスクアーロを仕切りに気にしていることだ。後者の方は今までにない感情を含んだ視線であったので、スクアーロも少し苛ついているようである。学校でたまに黒いスーツの幼子を見る。初めて見たときあれがリボーンか、と鯱は興奮した。一度だけ、リボーンと目があったような気がした。気のせいであってほしい。スクアーロとリボーンが接触することはないので、確かめようがないのだが。
三日目の学校生活が終わった。スクアーロはいつもの通り鍛練に向かおうと自室のドアノブに手を伸ばす。しかし、握る前に軽いノックの音がした。若い男が立っていた。


(あ、この人…)
(あ゙?だれだぁ)
(覚えてないのか)


スクアーロはすっかり忘れてしまっているようだが、鯱の記憶にはまだハッキリと残っていた。三日前、新しいマシンの件で親切にしてくれた男である。
男はあのときと似たようなはにかんだ笑みを浮かべて言った。


「ごめん、出かけるところだった?」
「別に。用件はなんだぁ」


変わらず、スクアーロの態度は目に余るものがある。タガミやドニたちにはそんなことないのに。何が違うのだろう。


「タガミさんからこれを預かってね。君に」


そう言って渡されたのは一枚の紙。走り書きのそれは手紙のようだった。


「ボスからだそうだよ」
「は?」


慌てて下部を見てみる。そこにはくずれた、しかし綺麗な字でテュールと書いてあった。珍しく、スクアーロの胸が波打つ。


「じゃあ、僕はこれで」
「あ゙ぁ」
(お礼!)
「…わざわざどうも」
「ふふ、どういたしまして」


パタンと扉が閉まるのを確認してから、スクアーロら急いでベッドに腰かけた。そして、綺麗なくずれ字に目を通す。鯱もじっとみていると段々読めるようになっていった。


『まだ見ぬスペルビ=スクアーロくんへ
どうもこんにちは。テュールです。ボスは堅苦しいからテュールって呼んでね!学校はどうかな。君は集団に馴れていないようだから入れたんだけど上手くいってる?わけないかー!まぁ、俺がいいって言うまで止めるなよ。ところで、君にお使いを頼みたい。なあに、簡単さ。土曜日に街のJ&Bというカフェで、ある男から手紙を受け取ってほしい。君の知っている人物さ、すぐにわかる。手紙はタガミに渡してね。会えるときを楽しみにしてる。
テュール』


「…は、」
(わあ…なんというか…)
「クソがぁ…何なんだ急に」
(不思議な人だな)
「気色わりぃ、納得いかね゙ぇ」
(でも上からの命令だろ)


鯱がそういうとスクアーロは諦めたようなため息を漏らした。

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