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授業が終わって早々に、スクアーロは荷物を纏めて出ていくことにした。が、何事も上手く事は運ばないようである。校舎を出て、裏道を歩いていたところで、さっきの金髪ば数人に絡まれていた。


「ひぃっ…!」
「情けねぇな!お前それでもマフィアかよ」
「やっちまおうぜ、ズッコ!」
「おう!」


どうやらリーダーと思われるあのデブはズッコと言うらしい。至極どうでもいいが。そんなことより、邪魔だ。通れない。主にあのデブのせいで。
鯱はスクアーロがそう思っていることがすぐにわかった。と同時に、嫌な予感がした。ちょっとまてまさか、


(スクアー)
「おいデブ」
(…ろ)
「あ?んだテメェ」
「邪魔だ。どけ」
「んだと!?」
「誰に向かってんな口聞いてやがる!」
「知らねぇな゙ぁ。さっさと退きやがれ」
「こんのっ…!」


まだ幼いから、頭に血が上るのは早い。精神的にも随分幼稚なようだから尚更だろう。それをわかっていてスクアーロもあんな風に挑発した言い方をする。鯱はこめかみを押さえた。このやんちゃ坊主は、まったく。精神年齢が高いのか、低いのか。先が思いやられる。鯱は黙って見ていることにしたが、気になるのはディーノのことである。スクアーロの視界の端に映る彼はへたり込んだまま呆然とこちらを見ている。大丈夫かと話し掛けられないのが酷くもどかしい。なんというか、庇護欲を掻き立てられるのだ。
鯱がディーノのことばかり気にしている間に、スクアーロの方は一悶着ついたらしい。スクアーロがズッコを半泣きにして終わるという。わかりきった結果であった。転けそうになりながら必死に逃げる後ろ姿に、鯱は確かに植え付けられた恐怖を感じた。


(はあ…スクアーロ)
(鬱陶しい野郎だぁ)
(弱いものいじめはみっともないぞ)
(ケッ)


スクアーロはディーノには目もくれず、再び歩き出した。スクアーロは向こうにてんで興味がなく、向こうは向こうで恐怖で声も掛けられないようだった。鯱は後ろ髪を引かれるような思いだった。しかし、無駄だということはわかりきっていたので、口に出すことはしなかった。
こうして、スクアーロの学校生活第一日目は、実に平和かつ無駄に終わったのである。

登下校は車での送り迎えらしい。なんだか贅沢な気がしたが、こんな辺鄙な場所に建っていてはそうでしか交通手段がないらしい。スクアーロ以外は寮に住んでいるので交通機関必要はない。バスが通ってはいるが、それだと時間がかかりすぎるらしい。お疲れ様です。鯱は心のなかで、運転している人にお礼をいった。


「おや、お帰り」


自室に向かう途中、タガミにあった。

「学校はどうだった」
「…つまんねぇ」
「はは、だろうねぇ…あ、そうだ」
「?」
「これから鍛練かい?」
「あ゙ぁ」
「感心感心。新しい機械が入ってね、人間を温度で感知するバッティングマシンなんだが、使ってみるといいよ。」
「わかった」


じゃあ私は仕事が残ってるから。そういってタガミは足早に去っていった。


(…敬語)
(ゔ)
(はあ…)
(性に合わねぇんだぁ!)
(もっと偉くなってから言いな)
(…)
(ま、無理強いはしないけどな。スクアーロの勝手だし。マシン試してみるのか?)
(…当たり前だぁ。荷物おいたらすぐ行く)
(はは、楽しそうで何より)




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