氷漬けになったドラゴンは、しばらくしてから駆け付けた王国の兵隊さんたちによって運ばれていった。ドラゴンを専門に扱う研究所で人に危害を与えずに暮らしていける地方へと運ばれて、逃がされるのだという。街を上げての豪華な祝賀パーティのど真ん中に座らされている俺たちは、むずがゆい気持ちで市長さんからその話しを聞いていた。

「…もしよろしければ、しばらくこの街に留まってはいただけませんか?」
「……いえ、俺たちには旅の目的があるんです。明日には、出発します」

親切に市長さんはそう言ってくれたけど、俺たちはあくまでも冒険者なわけであって。おまけに、故郷を襲った闇のドラゴンを退治する、という目的もある。前もこういったときに街の人の好意に甘えて一カ月ばかりぬくぬくと暮らしてしまった反省もあって、俺はそういって申し出を断った。

「…馬鹿だな」

美味そうな肉にかぶりつきながら、それでも愉快そうに、俺の相棒が笑う。

「知ってるだろ、そんなの」
「知っててもムカつくんだよ、ばか」

次の街でも俺はたぶんまたこいつに叱られるんだろうと思う。けど、やっぱり困ってる人を見かけたら放っておけないし、街が襲われてるんなら身体張ってでも守ってやりたいと思う。…たぶん、むかし、そうしてこいつが俺を守ってくれたみたいにして。俺は魔導師じゃないから、結界も防護壁も作れないけどさ。

「また明日からも頑張ろうな」
「…はいはい」

相棒はちょっと呆れたみたいにそういうと、肩を竦めてご馳走のほうに意識を集中したみたいだった。俺もそれに倣って滅多に食べられない料理に舌鼓を打ちながら、星々が散りばめられた空を見上げる。街の人たちの顔も明るい。胸がすくような気持ちだった。


To be continued?





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