鍛刀部屋の小さな鍛冶屋さんは喋らない。しかし小さな体を目一杯使って感情表現してくれる。
「レアな人作ってください!お願いします!できれば小狐丸!」
困ったように眉を下げ、ふるふると頭を振って拒否されてしまった。
うーん、可愛い。
「君ねえ…、まだ未実装だってば」
「ごめんなさーい。じゃあ三日月宗近で!」
今度は自分の胸をトンと叩き自信満々に大きく頷いてくれた。それからせっせと忙しなくお仕事に取り掛かってくれるのだ。
毎度のことだけどその自信はどっからきてんの?まだ1時間半以上なんて見たことないよ、私。

「俺は和泉守兼定。かっこよくてつよぉい、最近流行りの刀だぜ?」
「三日月宗近じゃないけど…は、初太刀…レア3…」
新入りさんの足元にちょこんと立っている鍛冶屋さんがとてつもないドヤ顔で私をちらちら見てくる。
腕なんか組んじゃってさ。可愛いなあ、部屋に置いておきたい。
「ほら、主。挨拶。僕の後ろに隠れてちゃ失礼だろう?出ておいで」
「歌仙くん…」
「……もう、仕方がないな。すまない、主は少し人見知りなんだ。特に見目麗しい刀には緊張してしまってね」
「そ、そうか…?まあ俺はかっこいいからな!しょうがねぇな!」
歌仙くんと同じような反応をしているけれど少しこの人の方がナルシストかも。歌仙くんも大概だけどね。そういえば名前が一緒だけど兄弟なのだろうか。私兼定運強すぎか。
「それよりアンタ、2代目だろ。之定の作の」
「そういう君は11代目だね。どうりで美しいはずだ。それに切れ味も良さそうだね」
「アンタほどじゃねぇって」
兼定はナルシストしかいねぇのかよ。