一緒に庭を掃いている安定にチラリと目線をやってからわざとらしく深いため息をつく。すると、優しい優しい安定くんは手を止めて眉間に皺を寄せながらも話を聞く姿勢になってくれるのだ。
「…なに」
「加州くんが来てくれない」
「またそれ?」
「だってやっさだはもう何人も出てるのに、加州くんだけだよ?最初の5振りも加州くん以外皆揃ってるのに…!レア4の鶴丸より出ないってどういうことなの」
「はっはっは、俺が一番びっくりしてるぞ!」
今なんか羽の生えた鶴丸がすごい速さで横切って行った気がする。あの人とうとう鶴になって飛び立って行くのかなあ。
「何が駄目なの…愛が足りてないの…!!?」
「もー、あいつ主が思ってるほどいい奴じゃないよ。うざい猫被りブスだから」
「そんなことないー!愛されるために頑張ってるとこが健気で可愛いじゃんか!」
「趣味わる」
「あーあ、早く来てほしいなー。加州くんの匂い嗅ぎたい」
「きも」
今日の安定くんすごく辛辣じゃない?私って一応主なんじゃないの?違ったのかな?
「愛ゆえにだよう」
「…ほんと?」
「あったりめえよー」
「俺のこといっぱい愛して可愛がってくれる?」
「うん。マニキュア塗ってるとこ眺めて完成した時の満足そうな顔写メって隙あらば抱きたい」
「主」
「それで頭撫でてさ、この前私リボン買ってたじゃん。あれ加州くんのなんだけど、あれあげてえへへ可愛い?って照れる加州くんのつるつるほっぺ小一時間撫で回したい。ハッピーかしゅみつライフ」
「主ってば。さっきから誰と喋ってんの」
返事してくれてたでしょ、何言ってんの。今度は安定がため息をついた。できればその憐れみに満ちた目で私を見るのだけはやめてほしい。
「声で分かれよ、馬鹿主。清光が照れてもじもじしてんのきもいから早くなんとかして」
「え」
今なんと?
「あの…ね、来ちゃった」
「彼女きた!!!!」