燃えるような一夏の恋でした。


暗殺部隊のボス、という立場の彼とはもう、会う機会もありません。


それでも私は彼が好きでした。


すき、ですよ今も。

でもそれは叶わぬ恋。

夏だけ。そうゆう条件であたし達は恋に落ちた。


お互いのことは全然知らないけれど、あたし達はそれでよかった。

それがよかった。
でも、
彼が一度だけ、あたしにこう言った事があります。


「お前は夏が終わったらどうする?」

「適当に生きる。」

彼の質問の真意がわからず、あたしはとりあえず差し支えない答えを言ったのだけど。

彼は口元に軽い笑みをうかべ、それ以上は聞かなかった。


でも、夏が終わりあたしは気付いた。
適当に生きる、なんて出来ない。

彼の事が頭から離れない。

彼はそのことを聞きたかったのかな。

夏の終わりが恋の終わり。
そう決めたのは、あたしのはずなのに。

ふと彼のいた、お屋敷を思い出す。

あたしは一夏をあのお屋敷で、過ごした。

そんな私に、そのお屋敷から一通の葉書が届いた。



戻って来い、        X.


あたしはすぐに、彼のところへ駆け出した。

夏は、まだ終わらないの。




残暑お見舞い申し上げます。


(このまま夏が一生、)
(終わらなければいい。)



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