*April Fools' Day!!前編の続き
「これは言わば、自分の全てを賭けたゲームだからね。」
「そんなに壮絶なものじゃないと思うけど…」
あたしのこの声は、ボスの部屋の方から聞こえた爆発音によってかき消された。
「むむ…」「あーあ。ボス、怒ってついにレヴィを灰にしちゃったのかな?ああ、なんて可哀想なレヴ……って?!なんでここに生きてるレヴィがいんの?!」
あたしの目の前には、髪一本怪我してないレヴィが!生きて!立っていた。
「やったね、レヴィ。」
「そうだな。今年こそは俺が優勝だからな。」
「まぁ何でもいいけどさ。計画料金、まだ支払われてないよ、」
こ、こ、この2人、あたしを騙したのね。もう。今年はほんとに、レベル高い騙し合いだ。これがヴァリアークオリティってやつか。
「ひどいー…でも確かに疑問だったんだよね。マーモンがわざわざボスを怒らせるような計画をするはずないって。」
「その通りだよ。僕が、バレたら生きるか死ぬかわからないようなリスクを伴う計画をやるはずがない。これは姫の完敗だね。」
うう…してやったり、って感じな顔をしてるレヴィにも腹がたつ!
「いいもん、あたしだってこんなところで終わったりなんかしないから!」
そう言って自室にむかった。
なんだかんだで秘策を打ち出すタイミングをつかめないでいたあたしに、絶好のチャンスが訪れたのは、夕食後。ボスは自分の部屋に戻って、今日のお皿洗い担当のレヴィがお皿洗いをして、それ以外のマーモン、ベル、スクアーロ、ルッスが居間でテレビを見てる時。今しかない!と思いたって、あたしは秘策を実行に移した。
「実は、あたし…ボスと付き合ってるんだ。」
テレビを見ていたみんなの視線があたしに集まる。
「あら!そうなの?前から怪しいと思っていたんだけど♪やっとくっついたのね!」
「俺は初耳だぞぉ゙」
わお、意外にいい反応!!まさかこの程度で信じてくれるなんて、今年の優勝はあた「騙されちゃ駄目だよ。嘘に決まってる。」
「王子は最初から信じてないけどね。」
マーモン………。ベル………。
やっぱり君たちは強かった。でも今回は引き下がる訳にはいかないの。まだ用意してる秘策はあるんだから!
「あら〜ん。嘘なのぉ?残念だわ〜。」
「本当だ。」
………ボス!!!!!!?!?!?!?!
まさかまさかまさかのボス登場!?しかもなんかノってくれてるし!!!
「あぁ゙?!本当に付き合ってんのかぁ?!」「本当だよなぁ?姫」
「あ、…う、うん!だから言ったでしょ!あたしボスと付き合っ…んんっ…」
あたしの返事を聴くと、ボスはにやりと口角を上げ、あたしの顎をつかんで、強引にキスをした。やばい!どう考えてもやばい!シャレになんないよおおお!
「うっそ。ほんとだったわけ?王子、すっかり騙された。」
「僕もだよ。予想外の展開だ。」
「ん…、っ…ぁ…」
ボスの深いキスはとどまる事を知らない。非常にやばい。限界、って事を伝えようと、ボスの服の裾をぎゅっと握ったら、ボスはますます楽しそうな顔をして、
「おい、息を止めるな。お前がつらいだけだろ。」
って囁いた。ならやめてくれればいいのに!そんなあたしの心の叫びも知らず、どんどん深いキスにかわっていく。もう、他の事を考えられないぐらいに、あたしの頭は、とろんとしてしまっていた。
「ゔぉ゙ぉぉい…お前たち…今年の優勝は姫でいいなぁ?」
「意義なしー」
「そうだね。」
「そうと決まれば、邪魔者は退散、ね♪」
遠くでそんな声が聞こえる。ああ、行かないで、邪魔者なんかじゃないのにぃぃぃぃ!
「余計な事を考えるな、集中しろ」
「…っ、ボ…スっ…ふぁ、」
彼の胸板をばしばし叩くと、やっと解放してくれた。
「…はぁ…は、ぁ…」
ボスは肩で息をするあたしをチラッと見て「っは…一体どういうつもりだ、」
と聞いてきた。
「ご…ごめんなさい、その…今日はエイプリルフールだから…、その」
「っは。くだらねぇ。」
あ、鼻で笑われた。ちょっぴり、本心なんだけどな。
「…ご、めんなさい。」
「…その責任は取ってもらう。」
「…責任?」
あたしが訊いた瞬間、ボスはあたしの腕を引っ張って、あたしを抱き寄せた。
「まずは息の仕方からだ、」
そう言ってあたしの唇を奪った。
April Fools' Day!!
(ぼ、す!これもエイプリルフールの冗談ですか?!)
(エイプリルフール?ドカスが。)




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