らすと4000hitsリク企画!




「仕事が入った。今夜は逢えねえ。」

そう電話してきたのはボスでしょ?
そうだったよね?

あたし、この電話聞いて、今夜ちゃんと予約してたレストランに、キャンセルの電話したんだよ?
そしたら、キャンセル料的なものを払わなくちゃいけないみたいで、わざわざその店まで払いに行ったのにさ‥。


なんでななめ向かいの店で、ボスが他の女といるわけ?!

ちょっと、まじで混乱なんですけど!
とりあえず、今は隣の店のベンチで落ち着き中。

仕事じゃなかったの?
今の女は誰?
もしかしてあっちが本命とか?

悪い予感は止まないもので、被害妄想みたいに次々に悪いシチュエーションが頭に浮かぶ。

「と、とりあえずベルに電話してみよう、‥うん、そうしよう、」
一人で考えるにはちょっと限界とゆうものがあって。
って、言い訳かもしれないけど一人で考えて、悪い方向にもってくのが嫌だった。

「もしもーし、姫?」
「ベル、今ひま?」

暇じゃなくても話すけど、
一応、ね。

「んー、任務中だけど別にいい。なんかあった?」

Σべ、ベルが優しい!
いつもは、絶対そんな事言わないのに。
ってゆーのは置いといて‥

「あのね、ボスが他の女といる。」
「、は?」
「だから、他の女といるの。」
「それ、なんかやばい事なわけ?」
全然危機感のない、呆れたような声が、電話越しに聴こえる。

「電話で、今夜は会えないって言われたのに、他の女といるんだよ?今!なう!現在進行形で!しかも今も!」
「わかったから、落ち着け。」
「どうしよ、ベル。」
「見間違いとかじゃねーの?」

たしかに、ガラス越しにチラッとしか見えなかったし、はっきりばっちり見たわけじゃないから、見間違いってゆうのはあるかも。

「‥もう一回見てくる、」
「おー。」
「‥電話、切らないでいてもいい?」 
「ん、」
「ありがと。」
「姫ー。」
「なに?」
「もしこれでその女がボスの本命だったらさ、」
「‥変なこと言わないでよ馬鹿」
「、王子の女になってよ。」
「え?」

ちょ、…え?
…えっ?!
「…え??」

今の、一回目の「え?」は、
ベルに突然の告白された事に対しての言葉で、
二回目の「え?」は、
電話しながら、店に入ってボスと女がいるであろう席に目を向けたら、ボスとばっちり目があっちゃった事に対する言葉。
しかも女といるよ、まじで。

とりあえず目が合った瞬間、全速力でダッシュ。
走る。

別にあたしが悪い子な訳じゃないのに、今のあたしに一番似合う言葉は‘逃走中’

「ベルベルベルベルベル、」
「うっせー、」
「目合った、やばい。ボスと目あっちゃったよ、しかも女といる。やばいやばいやばい。もうあたし、どうしよ。」
「うわー、頑張れ。」

な、なんでそんな余裕なんだ、この王子はああああ!

「すぐ追いつかれるだろうけど。」ってゆうベルの声と、聴いた事のある大好きなあの人の声が重なる。
『おい、姫』

あたしは、反射的に振り向いて、一歩後ろにさがる。


「何故こんなとこにいる?」

あたしは、もちろんこの質問には答えないで、ボスを睨むだけ。多分彼からしたら全然怖くないんだろうけど。

あたしがずっと携帯を握りしめてる事に気付いたのか、ボスは少し顔をしかめる。

「相手の女の人、ほっといていいんですか。」

ほんと、あたしって可愛くない。素直に寂しいって言えない。あの女の人は誰って聞けない。


でもボスは、なにも言わずあたしをぎゅっと抱き寄せた。
予想外の展開に思考が追いつかない。
ボスはあたしの手から携帯を取ると、相手がベルだとわかったのか「ちゃんと殲滅しとけよ」と、任務の指示であろう言葉を口にして電源を切り、携帯を放り投げた。


あたしがぽかん、としているとボスは少し笑い、髪をかきあげた。
「あいつは今、任務であの女の基地を殲滅してるとこだ、」

ってゆう事はつまり、
あの女=ボスが会ってた女の人
基地を殲滅=敵
あの女の人=敵
ってゆう事なんだろうか。

あたしがその答えにたどり着く前に、ボスはあたしを愛おしそうに抱きしめ、髪を撫で、優しく口づけをした。



「俺がこんな事をするのは、お前だけだ。」



甘く優しく
(囁いて、)



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