4000Hitsリク:任務で逢えなくて寂しくなるけど結局は切甘な話



あたしは、十分我慢してきたつもりだった。


ボンゴレの暗殺部隊のボスの女として、出来るだけ支えてあげてたし、その名に恥じることない行動を選択してきた。


…なーんて、かっこよく言ったらそうだけど、まあよく耐えた方だと思うよ、あたし。

ボスに甘えたいときだって、任務があるからってぐっと、こらえたし。
女の人と関らなきゃいけない任務だって、文句言わなかったし。
1ヶ月逢えなくても、「寂しい。」なんて言わなかった。


ボスがあたしよりも、ボンゴレが大切だって事も、理解してたつもりだった。



だけど!!
今日は!
あたしとボスの、
2回目の記念日!!!
2年だよ?2年!

その記念日を知ってんのか知らないのかすらわかんないけどさ!
朝っぱらから任務で、起きたらいないし、メール一つもない。
伝言もない。
しかも、その任務、1ヶ月かかる大仕事ときた。

もうね、あたし我慢できない。
きっぱりすっぱり別れてやる!

…あたしがどんなに、この記念日をたのしみにしてたかも知らないくせに。

あたしは、前々からこの日のためだけに、料理の練習して、そんなに、高い物じゃないけど、プレゼントも用意して。
すっごく楽しみだったのに。

馬鹿ざんざす!
そんなにボンゴレが大事ですかっっ。もういい、もういーよ。

あたしは携帯を取ると、1番最初に入ってる彼の番号を押す。
通話ボタンを押しても、出ない。

「留守番電話サービスに接続します。こちらは…」
ほーら、留守番。
やっぱり留守番。

「馬鹿ざんざす!寂しくて死んじゃうよ馬鹿!あたし別れるから」
ぷつっ。

ふん、
これぐらいしてやんないと気が済まない。
まあ、彼の事だから留守番聴いても、何もしないだろうけどね。

この、ヴァリアーのアジトを出る準備をしていると、無性に悲しくなった。
好きなのに。
あたし、まだ大好きなのに。

いつも帰ってきたら、必ず寝てるあたしにキスしてくれてるとこも、あたしが寂しくないようにって、ワンちゃん買ってくれるとこも、チョコ好きなあたしの誕生日は絶対チョコケーキにしてくれるとこも、
全然ぜんぶ好き。

あたしはボスが一番大切。
だけど、ボスは違うのかな。


荷物をまとめて、部屋を出ようとしたら、タイミングよくメイドがやってきて、「姫様にお届け物が届いております、」
なーんて言うから、さっそく出鼻をくじかれた。

「あたしにお届け物…?」
妙だとは思ったけど、なんの躊躇もなく、あたしは綺麗に包装された包みを開けた。

そこには、手いっぱいの薔薇の花束。
こんな事するの、彼しかいない。あたしの家出大作戦は、みごとにくじかれ、逢いたいって感情だけが増すばかり。

ずるいよ。
あたしばっかり、ボスが好きで。余裕なくて、一番大切で。
泣きそうになっていたら、ポッケの携帯が震えた。

着信はボスから。
「…もし、もし。」
「どういうつもりだ。」
「何が…」
「留守番。」
「あれ、やっぱり嘘。」
「…あ、?」
「好き、ボス大好き。」
あたしがそう言って、鼻をすすると、ボスは深いため息をついた。
「心配かけさせんな、カス。」
そんな言葉を吐きながらも、
ちゃんと優しい声で言ってくれる。
「心配したんだ?」
あたしが、くす、っと笑うとボスはそれには答えず、こう続けた。
「そこで待ってろ、」

そう言われて30秒もしない内に、アジトのドアが派手に開いた。
「ざんざす、」
任務は?
なんでここにいるの?
聞きたい事は山ほどあったけど、どれも、ちゃんと言葉にして出てこなかった。

「いいか姫、どんなに任務が忙しかろうと、記念日祝えなかろうと、…」
そこで、ボスはあたしをぎゅっと、抱きしめた。


「お前より大事な物なんてねえよ。」




地球で一番

(大切なあなたへ、)



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