4000hitsリク:ボスと結婚ネタ

「つな兄ー!早くしないと遅れちゃうよー?」
「待って待って。なんか忘れてる気がするんだけど…」
「財布持った?」
「あっ、それだ。」
「もう…」

お兄ちゃんは、立派なボンゴレ10代目になった。
あたしは、妹としてお兄ちゃんをすごく尊敬してる。
かっこいいし、強いし、何より優しい。ステキなお兄ちゃん。
けど、私生活はまだまだ、完璧とは言えない。

「あたしの結婚式の日ぐらい、ちゃんとしてよね。」
まあ、お兄ちゃんのマイペースには、もう慣れたけどね。

「姫、ほんとに結婚しちゃうんだな…。」
少し悲しそうにあたしを見るつな兄。
「いつでも逢えるから、悲しそうな顔しないの!」
「心配だ…」
「最強独立暗殺部隊のボスのお嫁さんなんてポジション、安全以外の何物でもないでしょ?」
「まあ、XANXASなら大丈夫かな…」
まだ納得してない感じだけど、あたしはつな兄の手をひっぱって、連れ出す。
「早くしないとー!」


式は、あまり派手なのを好まないXANXASの希望通り、厳かに執り行われた。


「姫、おめでとう。」
雲雀さんにも、
「極限にめでたいぞ!」
「姫ちゃん、おめでとう」
了平さんにも、京子ちゃんにも、
「寂しくなるなー。」
ディーノさんにまで。
みんなに、お祝いの言葉をもらって、あたしはすごく幸せだった。


「あたし、ほんとに結婚するんだー…。」
心の中で呟いたはずだったけど、声に出して言ってたみたい。あたしの一言に、横にいたザンザスが反応する。
「後悔してるか?」
「まさか。」
「だろうな。」
「ザンザスは?」
「あ?」
「今どんな気持ち?」
あたしがそう尋ねると、彼はフっと笑ってあたしにキスをした。


「あ、お兄ちゃん…」
あたしがザンザスと他愛ない会話をしていると、私たちの元へ、つな兄がやってきた。
一瞬ザンザスの視線が鋭くなる。
「結婚おめでとう。」
いつもと同じように、優しく笑いかけるように、私たちに言った。
「姫、幸せになってね。たまには家に戻ってこいよ?ザンザスにいじめられたら、すぐお兄ちゃんが助けてあげるから。」
いつもとかわらないお兄ちゃんの言葉に、涙が流れた。
また遊んでね、と言ったら綱兄は、あたしのおでこにキスをしてくれた。
そして、今度はあたしの隣にいるザンザスの方を向く。
「ザンザス、姫を頼んだよ。」
「言われなくてもそのつもりだ。」
「あと、姫の寝起きは最悪だから気を付けて。朝食は絶対に米じゃないと不機嫌になるから。」
笑ながらお兄ちゃんは言うけど、もう一緒に朝食を食べる事もないのか、と思うと涙が止まらなかった。
ザンザスはそんなあたしを見て、抱き寄せる。
「最後に、ザンザス。」

「姫を泣かせないでやって。」
綱兄は、かすれた声でそう言う。
うっすら涙を浮かべたお兄ちゃんの姿があった。
お兄ちゃんの涙なんか見るの、久しぶりかもしれない。そんな事を考えていたら、ザンザスの低い声が響く。

「それは無理だな。」

予想外の返事に、あたしは思わず顔をあげた。

「ザンザス、それはどおい「ただし、」
つな兄の言葉をさえぎって、ザンザスは満足気な笑みを浮かべ、口を開いた。



「一人きりでは泣かせねえ。」





これからは
(ずっと)
(お前のそばにいてやる。)



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