「あたしのモンブラン食べたの誰っ?!」
あたしの機嫌は朝から最悪。というのも、あたしは、月の最後の水曜日、"頑張ったDAY"といって、日頃の任務とか頑張ってる自分にささやかなプレゼントをするのだ。そのプレゼントというのが、ケーキなのである。それを…そのあたしへのプレゼントを!しかも一番好きなモンブランだよ?!信じらんない!
「どうせベルでしょ!」
こんな事するのは、あの金髪ナイフ野郎に決まってる!
「だって俺王子だもん」
意味がわからない。
それ理由にも言い訳にもなってないよ。ほんとはもっと怒るつもりでいたけど、なんか戦意消失。彼には誰もかなわないと思う。
「はぁ。」
ため息をついて、自分の部屋に戻ろうとした。
「あれ?言い返してこねーの?つまんね。」
「つまんない、とかそういう問題じゃないの!あたしがどれだけ楽しみにしてたかしらないくせに…ベルなんて大っ嫌い!」
自分が食べといて、つまんない、はないでしょ。何あいつ。もう最低。信じらんない!こんな事ぐらいで泣きそうになってる自分にも嫌気がさして、バタン、と大きな音をたてて自室の扉を閉めた。
今日は、もう何もしたくない。でもそんな事したらボスにかっ消されちゃうなー、とか考えながら、ベットに倒れ込んで、枕に顔を埋める。はぁ。あたしも、モンブランごときに、むきになってガキだなー。ベルの悪戯なんて、毎度の事だし。…はぁ。
今日何度目かのため息をついた時、コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。続けて、ドアを開ける音。まだ入っていい、なんて言ってないんだけどなー。でも今入ってきたのはきっと、怒って出て行ったあたしを心配してくれたルッスとかだから、いいや。そのまま枕に顔を埋めたまま、考える。そういえば、ベルはもともとノックなんてしないからなー。ほんとわがままな王子だよね。って、あたし何あいつの事なんか考えてんの、もう馬鹿みた「姫、」
?!この声は、
「ベル?!」
枕にうずめていた顔を上げると、手に紙袋を持ったベルの姿。
「そのー…悪かった、」
「…へ?」
え、ベルが謝ったよ!あの王子が!謝った!すごいすごいすごい、これ一生に一度かもしれない。そう思ってると、ベルが紙袋を差し出した。
「モンブランでもチーズケーキでも何でも王子が買ってやる、だから。嫌いになるな、」
そう言ってあたしに紙袋を押し付けた。
「これ…どうしたの?!」
その中には綺麗に包装されたいっぱいのモンブラン。とっても甘い香りがする。
「…な、何が目的?」
こんなベルの行為は初めてだったから、ばっちり警戒体制。
「なんも。姫が泣いてたら、今よりもっとひどい顔になるから、それは避けた方がいいなーってだけ。ししっ♪」
じゃーな、って手を振って出ていくベル。彼には誰もかなわない。だって、彼、王子だもん。
恋の始めは「大嫌い」
(こんなにたくさん、食べれないんだけどなあ…)
(あれ食って、太らせたところを王子がパクッと…ししっ♪)




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