あたしは、ある小さいマフィアのボスの娘。 只今、ボンゴレ特殊暗殺部隊のボス、XANXUSと喧嘩真っ最中。 彼とはまだ付き合ってるわけじゃない。 もとから、曖昧な関係だった。付き合ってんのか、そうじゃないのか微妙な感じ。それでもあたしたちはいつも隣にいたし、それなりに恋人らしい事もした。だからこそ、あたしは言葉が欲しかった。 「愛してる」 その一言が欲しかった。そしたら、もう立派な恋人関係。でもその事をXANXUSに言うと、この関係が崩れそうで怖かった。 きっかけはささいな事。 あたしはそれを待てなかった。答えを急いでしまった。だから、彼は不機嫌だし、あたしだってグレて、昨日から一切しゃべってない。 そんな時にきた「姫さんを、我がファミリーのお嫁さんに。」という縁談の誘い。 タイミング悪すぎ。 ありえない。 あたしがXANXUS以外のお嫁さんになるとでも? あたしの心は決まっているハズだった。 「え、あたしは断るから。」 お父さんにそう、宣言した。でも相手のファミリーはだいぶ大きな勢力らしく、お父さんは、今回ばかりは引いてくれなかった。 「どうしてだい?姫にとっても、我がファミリーにとっても、こんなに良い縁談はないと思うが。」 いわゆる、政略結婚、ってやつ。 くだらない。何がマフィア、よ、笑わせんな、って感じ。 「あたしは、嫌。」 「他に心に決めている人でもいるのか?」 …、いるけど。 その彼とは今、喧嘩してて…。 「いるよ、それぐらい。」 「XANXUS君か?」 「…そ、うだけど。」 「その彼とは、恋人なのかい?」 胸にチクッときた。 あたしたちは恋人じゃない。 そりゃ、恋人らしい事もしたし、愛は感じられる。けど、言葉で言われたわけじゃない。所詮、あたしの勘違いかもしれない。だからこそ、不安だから、言葉が欲しかったのに。 「恋人ではない、けど」 「だったら断る理由がないだろ?“心に決めた人がいます、でもその人とは恋人関係ではありません”ほら、おかしいだろ?」 「だけどあたし、っ」 「しかも、聞いたところによれば、XANXUS君とは、昨日から話してないそうじゃないか。そんな彼より、今回の縁談相手は、本当にお優しい方で、安心出来るぞ」 ちょっぴり、 揺れた。 いつでも欲しい言葉をくれて、抱きしめてくれて、どんな時でも愛を囁いてくれる。優しい人。 そんな安心、最近は全然だったから。少しだけ、そんな優しさにくるまれるのもいいかも、と思ってしまった。 「話はこっちで進めておくから。」 あたしの話をろくに聞きもせず、パパは行ってしまった。 これでよかったのかな。たしかに、ファミリーのためには、これが一番いい策だった。 喧嘩中だし、多分この縁談の話はまだ彼の元に届いてはいないだろう。極秘で話を進めてもらおう。 あたしは決意した。 顔も知らないどっかの大きなマフィアの彼と、結婚しよう。それが、ファミリーの繁栄につながるのならば、この身をもって。 ________ 後編に続く...ハズ |