あたしは今、窮地に立たされている。なぜかと言うと…
…明日ボンゴレの会議なのに、書類全っ然用意してないから!
これはやばい。すっかり忘れてた。素直に謝れば、ツナ君は絶対許してくれる。だけど、そんなんじゃなんか嫌!それに、寝ないでやったら、ギリギリ間に合うかもしれないの。だから!あたしは、今までにないくらいのスピードで、書類を整理していく。
「俺も手伝うぞぉ゙。」
スクアーロ、やっぱ頼りになる。ほんと、あんた最高だよ。
「ありがとスクアーロおおお!会議終わったら、なんか奢るから!絶対!」
もうほんとに、猫の手も借りたいぐらい。
「ししっ。せいぜい頑張れよ〜」
なんて、ベルは冷やかしてくる。ひどいよね、手伝えよ。
「時給はいくらだい?」
マーモン論外。“ボランティア”って言葉、絶対知らないよね、このガキ。
こうして、なんだかんだ、みんなの手伝いで、半分まで終わったところで0時を回る。
「もう日付超えちゃうじゃん…みんな!手伝ってくれてありがと。もう寝ていいよ。」
「厭、まだ俺は大丈夫だぞぉ゙?」
「ししっ。王子、今日昼寝したから余裕ー。」
「ふあぁぁ…僕もだいじょ…う…zzZ」
「あ。赤ん坊寝た。」
まだ大丈夫って言ってくれるのはすごく嬉しいし、ありがたいけど、これで任務に支障が出たら申し訳ないし。
「ほんと大丈夫だから!ありがとう。」
そう言って、渋るみんなを部屋に返し、残りの半分を、頑張ろう!と決心する前に。
Let'sお風呂!
丁度いい区切りだし、ひとまずお風呂入ろう。そして、残りはボスの部屋でやろう。一人は寂しいから。
ボス、あたしがあがった頃には、何してるかな。まだ仕事してるよね、きっと。邪魔しないようにしなくちゃ。
そんな事を考えながら、お風呂ををあがって、ボスの部屋をノックする。
「ボス、入っていい?」
「嗚呼、」
ドアを開けると、愛しい彼の姿。ほんとは抱きつきたいけど、そんな事をしている暇はない。
いつもだったら、あたしが部屋に入ってきたら、真っ先にあたしを引き寄せて、キスして、そっからいちゃいちゃするけど、今日は、なんにもしてこない。
きっとボスは、あたしが今大変な状況だってわかってると思う。
「今日、あたし徹夜なの!」
「そうか」
だからって、手伝ってくれるわけじゃないけど。
もし、ほんとにほんとに間に合わなくなったら、スクアーロには悪いけど、スクを叩き起こして手伝ってもらおう!そう、覚悟して、資料の編集を着々と進める。
…へっくしゅん。
……。
くしゅん。
あ、髪の毛まだ乾かしてなかった。なんか寒いなー、って思ったら。
でも、髪なんて乾かしてる暇ないの!やばいよ!もう2:30だし…
風邪ひいたって、なんだって、資料が完成すればいいんだから!とにかく整理、編集、整理、編集、整ゴォーー…ー
あっ、れ。
後ろの首に生暖かい空気が。
「…ボ、ス?」
振り向くと、不慣れな手つきでドライヤーを持って、あたしの髪を乾かすボス。
「てめぇは仕事してろ。」
少々不機嫌な顔で、そう言い放つボスに、いつもの怖さはない。
ドライヤーを当てる手つきは雑だけど、あたしの髪を撫でる手は優しくて、資料どころじゃない。あのボスが!あたしの髪を!…あぁー幸せ。かれかのみたい。かれかのだけど。…とりあえず、ボスのご好意を無駄にしないように、編集にはげむ。何度も後ろを振り向いて、あたしの髪を乾かすXANXUSの姿を見る。その度に、
「動くな、」
って言われるけど、もうそんなの関係なくて。口元がニヤける。
「…これぐらいでいいだろ。」
ふぅ、とため息をついて、ドライヤーをおろすXANXUS。
「ありがと、」
「…さっさと仕事しろ」
いつもと変わらないボスだけど。本当は優しいの、知ってるよ。…なんか嬉しくて、仕事はかどりそう!多分スクアーロに迷惑かけずに済む。このまま勢いで資「おい姫、」
資料に手を着けようとしたら、ボスに声をかけられる。
「なに?」
「…カス鮫じゃなく俺を頼れ」
「…え、だって」
ボスは他の仕事で忙しいじゃん。そう言おうとしたらそれをボスの言葉に遮られた。
「自分の女のピンチぐらい救えねぇでどうする。」
あたしだけののスーパーヒーロー
(やった…間に合った!)
(会議まだだろ?寝ろ)
(寝ても中途半端だし、起きてる!)
(そんなに元気なら一発ヤるぞ)
(寝 ま す 。)



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