「好きって言ってよ、」
さっきから、この言葉を言いたくて、喉をつまらせてばかり。臆病者のあたしは、そっとため息をつく。机に向かってなにやら仕事をしているボスを見て、またため息をつきそうになる。仕事が大変なのはわかってる。別にどこかに遊びに行きたいわけじゃない。でも最近全然構ってくれないXANXUS。だから不安になる。もう、あたしのこと、好きじゃないのかなって。
「ねぇXANXUS、好きだよ」
「っは…知ってる」
ほら、XANXUSは言ってくれない。もしかしたら、あたしだけが好きなんじゃないの?…はぁ。マイナスな考えばかりが募る。スクアーロのとこにでも行こう。愚痴聴いてもらおう。XANXUSといても、正直今はつらいだけ。
「どこに行く、」
あたしが立ち上がったら、声をかけられた。
「スクアーロのとこ。」
XANXUSの方も見ないで、扉に向かう。
「行くな」
なんで止めんの。なんでよ。いつも、命令ばっかりで。…あたしの欲しい言葉はくれないくせに。なんでこういう時は止めんの。
「意味わかんない…あたしがどこ行こうが勝手じゃん!」
今日は素直になんかならない。ほんとはXANXUSに止められてちょっと嬉しいけど、今日は思い通りになんていかせないんだから。
「勝手じゃねぇ。ここにいろ」
もう無理。限界。あたしが思ってる事、今日は全部言ってやる!
「こういう時だけ引き止めてさ、なんなの?XANXUSはあたしの事ほんとに好きなの?!」
XANXUSの目が、真っ直ぐにあたしをとらえる。
「あ?」
「ねぇ、…好きなの?嫌いなの?もうわかんない」
「言わなくてもわかんだろ。」
「わかんない!!」
「…はぁ」
そう呆れるため息をついて、XANXUSはあたしに向かって歩いてきた。オーラがいつもより怖い。でも!今日は、負けない…!!
「ごまかさなっ…んっ…」
いきなり唇を塞がれ、口内を彼の舌に犯される。息が苦しくなるまで続けられたそれは、妙に熱をもつ。
「…わかったか。」
「……わかんない。」
そりゃ、キスは嬉しいよ?でも、言葉が欲しい。XANXUSの、言葉が。
「…てめぇ、」
「言葉で言ってくれないと不安なの…!あたしばっかり、好きなんじゃないかって。毎日言って、なんて言わない。今日だけでいいの、“好き”って言「姫」
XANXUSの紅い瞳に見つめられる。やばい泣きそう。ちょっと言いすぎたかな。我が儘すぎたかな。いつもこんなに強く言わないからな。やばいかも。怒られるかも。めんどい女って思われたかな…
「…何、」
恐る恐る顔をあげるけど、ちょっと怖くて、思わず扉の方を見る。
「目、逸らすな」
ぎゅ、
いきなり、XANXUSに抱きしめられる。
「…え、」
「…Ti Amo.」
そう、耳元で囁かれた。
「…っ」
「俺がこんな風に抱き締めんのはてめぇだけだ。」
不器用な愛の形
「むふふ…もう1回言って…!」
「調子のんな、」
「嬉しいんだもん!」
「勝手に喜んでろ」
「…じゃあいい。スクアーロのとこ行く」
「ちっ…しょうがねぇ」
「(可愛い…)」



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