時間を要する任務先に赴いて2週間が経った。本当はスクアーロと一緒の任務だったはずが、スクアーロはちょっとだけ怪我をしてしまったのため、イタリアに帰ってしまった。話し相手もおらず、仕事は二倍。毎日のように敵を機械的に倒すだけ。こんなのつまんない!せめてスクアーロがいれば!…だめだめ。スクアーロは怪我しちゃってて、大変なんだし。…はぁ。 「もう無理!」 だって2週間も大好きなボスの声聴いてないんだよ?信じらんない!ちょっとはメールぐらいしてくれてもいいのに。 「ボスに電話しちゃおっかなー…」 本当は、任務に関係ないこと以外は電話はするな、って言われてるけど。もう限界なんだもん。ボスは、あたしの安否とか気にならないわけ?!……なんか用事作って電話しちゃお。いいもん、怒られたって。ボスの声聴けるだけでいいもん。いっそ無言電話しちゃおうか。そんなこんなで携帯電話を手に取る。 プルルー…プルルー… やばいやばい。ほんとにかけちゃったよ。どうしよ、用事は何にしよ、えっとえっと… 「どうした、」 うわ!ボスがほんとに出ちゃったよー!でも久しぶりの声!!かけてよかった! 「もっ、しもし!ボス?!」 「俺以外に誰がいる。」 「えへへ…」 「用件はなんだ。」 …相変わらず厳しいなぁ。ちょっとぐらいいいじゃん、電話ぐらいさぁ。…彼氏に電話するのに理由なんているの? …なんて言えるわけもなく、とっさに用件を考える。 「んーと、…えっと」 「用がねぇなら電話してくんなって言っただろ。」 「用…ぐらいあるもん!」 なんかほんとに厳しくて腹立つ!少しは、頑張ってるか?とか大丈夫か?とか言ってくれたっていいじゃん。 「ならさっさと言え」 「むぅ…スクアーロは大丈夫なの?怪我治ったの?ここに残ってるスクアーロの荷物はどうすればいいの?あたしが持って帰ろうか?送ろうか?ってゆうかスクアーロは怪我治ったら戻ってきてくれるの?寂しいんだけど。」 腹立ったから一気にまくしたてるように言った。はぁ、と一息つく。 「……」 反応なし、ですか? 「ボス、ちゃんとあたしの話聞い「カス鮫の話か、」 「え?」 「カス鮫がそんなに心配なのか」 なんかボスの声、滅茶苦茶怒ってるんだけど…。 「え、っと。まぁ心配だよ普通に。」 「…カス鮫の怪我は治った。だがそっちには戻さねぇ。てめぇが一人で任務を済ませてこい。荷物は送れ。わかったか。」 「あ、…はい。」 なんで!?なんか怒らせるような事言ったかな…?!なんでこんな怒ってんの?!……やっぱ電話しちゃ駄目だったか。 「……、電話してごめんなさい。」 やっぱ電話するんじゃなかった。ボス怒らせちゃったし…。せっかく声聴けてもこれじゃ意味ないよ。 「……」 逢いたいよ、寂しいよ、大好きだよ、わかってよ。ほんとは言いたいけど、そんなに素直にはなれない。 「……」 「おい、」 「…っはい!」 「早く帰ってこい」 ……え? 「ボ、ス?」 「さっさと任務終わらせてこい。」 もうそこに、さっきまでの怒りはなく。 「うん。」 早く終わらせて、ボスに抱きつこう。そう思った。 「…そろそろ切る、ね」 「…あぁ。」 「じゃあね、…」 通話終了ボタンに手をかける。 「姫、」 「?」 「愛してる。」 そこで電源は切られた。 ああー…。早くボスに逢いたい、逢いたい、逢いたい!そして言わなくちゃ。「あたしもだよ」って。 今すぐ君の元へ (飛んで行けたらいいのに) |