ベルに手を引かれ入っていったお屋敷は、想像以上に広くて豪華でびっくりした。「こんな広いとこ、迷子になりそう。」
「言っとくけど、迷子センターないから。ししっ」
「い、いらないよ…!」
「はい、到着ー。」
言われて顔を上げると、居間みたいな広いリビング的なところ。そこのソファに各々が座って、好きな事をしている。
「姫来たよ、」
って王子が言うと、部屋の中にいた人の視線が集まる。
「お゙ぉ゙、来たかぁ。」
「あら、随分スタイルのいい子ね、」
「そのネックレス、高そうだね」
「妖艶だ、」
うわあ。
すごい…なんていうか、あの、個性的?みなさんすごいキャラが濃い。
「俺はスクアーロだぁ。お前を引き抜いたのは俺だ。これからは俺の隊のトップとして働いてもらうぞぉ゙。」
声の大きい人ってこの人か。この人があたしを引き抜いたんだ…
綺麗な銀髪に思わず触れそうになる。
「あたしはルッスーリアよん。ルッスって読んで頂戴♪よろしくね、」
くねくねと体をくねらせてしゃべる、この方とは、何故か仲良くなれる気がする。
「僕はマーモン。よろしくね」
ふわふわと浮いてるこの赤ん坊が、ヴァリア-の幹部なんだ…ヴァリア-って不思議…というよりマーモンさん、可愛い……
「んで、ここで鼻血だしてぶっ倒れてんのが変態雷親父。ししっ」
「あら〜それはちょっと可愛そうよん。この人は、レヴィって言うの」
「今、ボスは部屋だ。後で挨拶に行くぞぉ゙」
「あ、はい。」
みんなの自己紹介が終わったから、次はあたしの番。そう思ってサングラスを外した瞬間、何故かみんな、あたしから視線を外さぬまま、目を見張っている。なんか顔に変な物ついてる?!って思って鏡を見ようと鞄に手をかけた。
「…桜…!?」「うぉ゙ぉ゙い、桜じゃねぇかぁ?」「桜ちゃん…あなた、生きてたのね!」「すぐボスのところへ行きなよ、事情はそれからだね。」
え?え?え?!
桜?さくらちゃん?何者!?
「あ、のー…あたしは…、姫です…なんかすいません」
あまりにもみんなが桜ちゃん桜ちゃんって言うもんだから、なんとなく、あたしが“桜ちゃん”じゃない事が少し申し訳なくなった。
「似てるね、桜に。」
「そうよね…桜ちゃんが今ここにいる訳ないもの…」
「それにしてもそっくりすぎね?」
「一瞬本気で桜かと思ったぜぇ。」
誰…?桜って…。とにかくあたしは、その"桜"って子そっくりだって事だよね?
「うるせぇ、カス共」
後ろの扉から声がした。
「ボス…!」←レヴィが起きた
「うぉ゙ぉ゙ぉ゙い…」
「タイミング良いのか悪いのか…ししっ」
あたしは、そのボス、と言われる人物の声がする方を、振り返った。
「そこにいる女はだ、……?!」
「あ、初めまして。今日からお世話になる姫と言います。」
ボス、と呼ばれる人物は、あたしから目を離さない。そして、みんな程ではないけれど、少なからず驚いているみたい。視線をそらせない。なんて綺麗な赤い瞳。怖そうな見た目に圧倒されつつ、すいこまれそうな瞳に見つめられて、あたしは少しあとずさりをした。


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