「桜ちゃんの代わりでもいい。
好きなんです。」


代わりでもいい。
愛されてみたい。この人に。
それがたとえ、あたしにむけられた愛じゃないとしても。

「本気か、」
「そうじゃなかったら、こんな命がけな、自殺行為しません。」
ボスは酔ってる。
だからかっ消される可能性は低い。あたしは、そうみた!
「っは、…いいだろう。」
どういう意味だろう。
それは、…
「抱いてやる。」
そう言うと同時に、あたしを側にあったベッドへ押し倒した。
えっ、ちょ、展開早くない?!
あたし頼んでないし!
「馬鹿な女だな」
ボスはそう言って、
あたしは
深い快楽に堕ちていった。
でも堕ちた所は真っ暗で。
先が見えなかった。
「…っ、は…ボ、ス…っぁ、」
快楽に蝕まれてるにも関わらず、あたしの心は満たされなかった。
それどころか、
「っ…声出すな、」
怖い。
はじめて心から
ボスを怖いと感じた。
ああ、本当にあたしは、桜ちゃんの代わりでしかないんだ。
あたしの好きなボスの紅い瞳さえ、あたしを見ていなかった。
その瞳は、
あたしの先にある桜ちゃんの影を見つめているようだった。
ああ、なんてあたしは馬鹿な女なんだろう。
元から、ボスがあたしを見るわけがない。
それでもね、少しでもボスの気が楽になったなら、本望かな。
そんなことを考えながらボスを見てるあたしは、そうとう重症だと思う。

ボスが隣で寝息をたてて寝ている。あたしは天井を見上げる。

ふと、ボスが寝言を呟く。

「…桜、」

やっぱり

あたしは、




桜ちゃんには勝てない。


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