ヴァリアーの屋敷に着き、ルッスに足の応急処置をしてもらった。応急処置をしてもらっている間もずっと、ボスの行動を思い起こしていた。なんであたしを助けたんだろう…一緒に帰りたかったな…。いろんな感情がぐるぐる。
「後は、あんまり動かさなければ治るわ!」
そう言ったルッスの声で、現実に引き戻される。あたし、何考えてんだ!!しっかりしなきゃ!
「ありがとルッス〜」
お礼を言って、彼女(…彼?)の部屋を出ようとしたら、声をかけられた。
「姫ちゃん、」
「なに?」
「今、ボスの事考えてたんじゃない?」
え、鋭い。女のカンってやつ?…女じゃないか。
「な、…んで。」
とりあえずごまかしてみる。"好き"とか気付かれたら終わりじゃん!それだけは嫌!
「ボスに惚れた?」
あ、れ。気付かれんの早っっ。ルッスには、何も隠せないらしい。そう思って、正直な気持ちを話そうと思って、もう一度ソファに座り直す。
「…まだ、よくわかんないの。」
正直な所、今は本当にそんな感じ。たしかに、助けに来てくれた時は、かっこいいと思った。抱っこされてる時もドキドキしてた。でも、…あの人はあたしの事、好きじゃない。むしろ逆。…そう思うと、好きになったらいけないような気がした。
「ん-…やっぱり複雑よねぇ…」
「…言っちゃ駄目だよ、?」
「もちろんわかってるわ♪」
それから、ルッスと楽しいガールズトークをした。意外にもルッスは、恋多き女でびっくり!
「あたしの経験から一つ言えるのはね、」
そう言って、ルッスは一息ついて、あたしを見た。
「どんな状況になっても相手を信じ続けて待つ、揺るがない強い心。これが、恋愛において一番大切な事だと思うの。」
ルッスが、残りの紅茶を飲みほして、あたしに笑いかけた。
「さ!そろそろ寝る準備よ。今日は疲れてるでしょう?早く寝なさいね♪」
「そーだね。話聴いてくれてありがとう。ルッスに話してよかった!」
「あら〜ん、ありがとう。またいつでも相談しなさいね♪」
おやすみ、と挨拶をしてルッスの部屋を出る。ほんとに、ルッスは頼りになる。こんな話が出来る仲間がいて、よかった。心底、そう思う。
ああー…そういえば忘れてた。
あたしは、自分の部屋に入り、今日の報告書を提出するのを忘れていた事に気付いた。出しにいかないと!ボスとはちょっと気まずいけど…消されるよりはましだ。あたしは報告書を持ち、ボスの部屋へ向かった。


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