窓の外は雪。
暖炉のそばのソファ。
隣にはボス。

ちら、とボスの顔を盗み見るのがこの時間の過ごし方。

ボスは上司であたしは部下。

それ以下でも以上でもない。
ただ、あたしは心の中でちょっとだけ、"以上"を期待してしまっていたりする。

それにしても、ボスの目は素敵だなあ、なんて。
普通の人が見たら怖がるくらい燃えるような瞳の奥に、強引だけど温かい優しさがある気がするの。

わかったような言い方してるけど、あたしは実際ボスの一部でさえ理解できてない。

わかりたいけど、
知りたいけど、
それをすぐ全部悟らせる人じゃない。
わかってる。
そこも好き。
でもちょっとくらい、
少しくらいなら、
知りたい欲求がつのる。


「ボス。」

「ん、」

「もし、あたしがボスの事好きって言ったらどうします?」


さて、
どうしてくれるの、ボスさん。
ちょっとは嬉しい反応を返してくれるんじゃないのかな、なんて。

「っは‥どうもしねえ。」

「え、」

「好きなのはお前なんだろ。」


はい、
嬉しい期待をしたあたしが馬鹿
でした。反省します。うぅ。


「じゃあ、もしもボスがあたしのこと好きだったらどうし、‥ん、‥」


いきなり
目の前が暗い。
顔を離すなり、唇を舐めるボス。
色気。
ぶっ倒れる。
いや、
いやいやいや、
そんな問題の前に!
き、き、キス、‥したよ今ああああああ


「ボ、‥え、今‥き、キ…」


「もしも、の話だろ。」



そう言って君はまた

余裕の笑みで

あたしを夢中にさせる。


もしも君が僕を好きなら。
(ますます、ボスの事が)
(わかんなくなったよ。)





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