「なんで姫なの?!」
「理由を説明して!」
「納得できない!」
「意味わかんないから!!」
「ボスの馬鹿っ」


、というような事をばーっと言うだけ言って、肩で息をして俺を睨む姫。
きゃんきゃんうるせーんだよこいつは。
チワワか。
なんでこいつが俺の女なんだ。
そっちの方が意味わかんねえよ。

「相変わらず性格だけは強えな、てめえは。」
「うるさい、とにかくあたしはやんないから!!」

誰かの手配ミスで、任務を再びやらなければいけなくなったわけだが、ちょうど幹部は全員仕事が入っていて、オフなのは姫だけだったから、こいつに休日返上で任務行け、と言ったところ、反応がこれだ。


「この休みはデートしてくれるって、…」

ああ、機嫌悪い理由はこれか。
たしかに、最近姫に構う時間がなかったのは本当だし、先日、今度のオフに2人で過ごすという約束はした。


「ボスはいつもそう。大事なことほったらかしてさ。」
「ほんとに任務に行かねえつもりか。」
誰かが行かなくちゃいけない、という事はこいつもわかってるはずだ。
そして、それは自分が引き受けないと駄目だ、という事も。

「行きたくない、‥」
ボスといたいよ、という小さなつぶやきも、さっきより威勢がなくなった。

「しょうがねえ、‥」
「、」
「なかせてやろうか、」
「、ボスに泣かせられるのは慣れてるもん…!!泣かせられたってなんだって行きたくないの!!」

任務取り消しを期待していたのか、さっきよりもさらに機嫌がわるくなる。

「大人には、別の鳴かせかたがあんだよ餓鬼、」
「Σ、鳴かせっ、て、…ちょ、ボス!」
「お前には早いか、」
ふっと鼻で笑い、姫を見つめる。
「はあ…。もう知らない、行くよ任務。ボスにはかなわ、…っ、ん‥」

うるせえチワワだなこいつは。
そのくせ、キス一つで顔真っ赤にして。

「姫、」
「なに、」

若干まだ機嫌が悪いがこれぐらいはまだましな方だ。

「帰ってきたらたっぷり可愛がってやる。」
「、っ」


「だからさっさと戻ってこい。」




(だけどご褒美は、)
(甘くて優しい)
(あなたの愛。)





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -