もう全てがわからない。

あたしがここにいる意義も。
あたしが生まれてきた理由も。
全部ぜんぶ、わかんない。


常にそんな疑問をもって生きてきたせいか、あたしはもう何がわからないのかもわからなくなってきた。
ってゆーかどうでもいいか、そんな事。

「次の任務は落命も視野にいれろ。それぐらい危ない。」

だからボスにそう言われた時も、別に命を守るために頑張ろうだなんて思わなかった。
ただ、ヴァリアーのためになるなら。
ボスが満足して褒めてくれるなら。
あたしがザンザスの女でいられるなら。
それならいーや。
頑張る価値がある。
だから頑張れる。
もしこれで命を落としたとしても本望だわ。

「おい姫、」

一通り次の任務の説明を聞いて、解散しかけてた幹部の中のあたしを、ボスは呼び止めた。
珍しい。

「なんでしょーか?」
「馬鹿な事考えるな、」
「、例えば?」
馬鹿な事って。
そんな馬鹿でもないよ、まじめだよ。
ボスの超直感が発動してるのは百も承知だけど、あたしは知らないふりをした。それすらも、彼にはばれているみたいだけど。

「わかってんだろ‥」
「…まあ。でもあたし、これが生まれてきた理由だと思うんで。ヴァリアーのために、ボスのために命を落とせるなら、いーかなって。」
まぎれもない本心です。
別に投げやりなんかじゃないよ?ほんとの気持ちなんです。

「くだんねえ、」
はっ、と鼻で笑う彼をあたしはぼーっと見つめる。
何がどうくだらないのでしょうか。そう聞き返そうと思ったけど、それはまたもやボスの呆れた発言にかき消された。

ボスはほんとに大胆だなー、なんて。
彼を中心に世界はまわってるんじゃないかと思うくらい。

だから、

「てめえは俺に愛されるために生まれてきた、」


決まってんだろ、?
と満足そうに笑う彼を見た時。



(君のために、)
(僕は明日を願う。)





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