ずっと俺がついてるから


「緑川、一緒に学校行こう。」
「うんっ」

あの日から俺達は、何事もなかったかの様に仲良く暮らしている。
学校が始まって、多少なりとも不安はあったけど、緑川は俺以外の人間とはあまり話さなくなり、告白もキッパリ断っているし…
もう何も心配は無いみたいだ。
それにまた何かあったら、ただそいつを排除して緑川を守ればいいだけの話。

「げっ!今日数学ある日だ!やだなー…」
「でも体育もあるよ、サッカーやるんだって。」
「サッカーかぁ…楽しそう。」

そう言ってニコニコする緑川は本当に可愛い。
その笑顔に何度救われた事か。

最近の学校生活はとても楽しい。
緑川と一緒に授業を受けたり小声で話したり一緒に弁当食べたり。
ごく普通の生活だけど、これがどんなに幸せな事かは十分に理解している。
緑川に避けられていた時は毎日とても退屈でつまらなかったんだから。

そしてあっという間に下校時間。

「緑川、帰ろうか。」
「あー、ちょっと待って。今ゴム探してるんだけど見つからなくて。」

ゴムと言うのは髪を結ぶゴムで、いつも緑川は髪を結ぶゴムと予備用のゴムの両方を持っている。
そのうちの予備用が見つからないとの事だ。
俺も辺りを見回すけど見当たらない。

「んー…おっかしいなぁ、なんで無いんだろう。」

眉を八の字にさげて言う緑川。
するといきなり、あっ!!と声をあげた。
どうしたの?と言う俺の問いかけには答えず、緑川は自分の制服の胸ポケットに手を入れた。
そしてそこから取り出したのは予備用のゴムだった。

「体育の時、こっちに入れたの忘れてたよー、まさに灯台もと暗し!」


それから、俺達は手を繋いで下校していた。
これはいつもの事だ。

「しっかし緑川は忘れんぼうだよね。」
「なっ!しょ、しょうがないだろ。」
「ふふっ」

すると、後ろから車が走ってきた。
俺は車道側に居た緑川と場所を交換、つまり自分が車道側に回った。

「……ヒロトのそういう所、好きだよ。」
「え?」
「自分が車道側に回って俺を守ってくれる所。」

これは半ば無意識にやっている様な事で緑川も気付いていないと思っていた。

「だって俺は緑川のナイトだから。いつでも緑川を守らないとね。」
「なんだよそれ。俺、そこまで弱くないもん。」

けらけらと笑い飛ばす緑川。
あれ、至って本気なんだけどな。
緑川を守るためなら俺はなんだって出来る覚悟がある。
殺人でも、何でもやってやる。
だって、それくらい

「愛してる、…リュウジ。」

俺のいきなりの愛の言葉に緑川は驚いた様で。
しかも滅多に呼ばない名前呼びだから更に。
けどすぐ優しく微笑んだ。

「行こう。」

そう言って止まっていた足を動かして前に進む。
俺はお前のナイト、お前を守るのが使命であり生き甲斐でもある。
どんなやつがお前を狙ってこようと、絶対に守り抜いてみせる。

「……俺が、ずっと側についてるから。一生守ってやるから。」






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